李陽焜

李陽焜（り ようこん、イ・ヤンゴン、ベトナム語：Lý Dương Côn / 李陽焜、朝鮮語: 이양곤、生没年不詳）は、12世紀の李朝大越（現在のベトナム）の皇族であり、旌善李氏（チョンソンイシ）の始祖として知られています。彼の生涯は、王位継承をめぐる争い、亡命、そして異国での定住という激動の出来事に彩られています。

李陽焜は、李朝第4代皇帝である仁宗（じんそう）の養子でした。彼は、同じく仁宗の養子であった李陽煥（後の神宗）と帝位を争いましたが、この争いに敗れ、王位を逃しました。この敗北により、李陽焜は故郷を離れ、南宋（当時の中国）へと亡命することになります。

南宋に亡命した李陽焜でしたが、その後の動向は詳細にはわかっていません。しかし、1127年末に起きた靖康の変（靖康の禍）による混乱を避けるため、高麗（現在の朝鮮半島）へ移住したとされています。高麗に移住した李陽焜は、慶州（キョンジュ）に定着し、そこで生涯を終えました。彼がその後の人生でどのような活動をしたのかについては、詳しい記録は残っていません。

李陽焜は、歴史的には王位継承争いに敗れた人物として語られることが多いですが、彼の子孫は朝鮮半島において旌善李氏という氏族を形成し、現在に至っています。この事実は、彼が故郷を離れてもなお、歴史に名を残す存在であったことを示しています。

彼の生涯は、政治的な争い、亡命、異国での定住といった、歴史の大きな流れに翻弄された個人の運命を映し出しています。また、彼の存在は、李朝大越から高麗へと、時代と場所を超えて人の流れがあったことを示す証左でもあります。李陽焜の足跡は、歴史の変遷と個人の人生が複雑に絡み合った、興味深い物語を提供しています。

参考文献として、斗山世界大百科事典の「이양혼 李陽焜,?~?」という記事や、韓国族譜出版社の「이씨(李氏) 본관(本貫) 정선(旌善)」という記事が挙げられます。これらの資料は、李陽焜に関する情報を収集する上で重要な役割を果たしています。

李陽焜の生涯は、必ずしも史料が十分に揃っているわけではありませんが、その波乱に満ちた人生は、歴史の中の多様な側面を照らし出す光となるでしょう。

もう一度検索