村上敬宜

村上敬宜（むらかみ ゆきたか）は、1943年生まれの日本の機械工学者です。九州大学名誉教授であり、同大学の理事・副学長を歴任しました。また、産業技術総合研究所水素材料先端科学研究センターのセンター長も務めた経験を持ちます。産学官連携における顕著な功績が評価され、日本経済団体連合会会長賞を受賞しています。

生い立ちと学歴

島根県出身の村上敬宜は、島根県立益田高等学校を経て、1966年に九州大学工学部機械工学科を卒業しました。その後、1968年には九州大学大学院工学研究科修士課程を修了しています。

職歴

修士課程修了後、村上は日立製作所に入社し、日立研究所に配属されました。1971年に九州大学工学部の助手に就任し、大学教員としてのキャリアをスタートさせました。その後、1975年には九州工業大学の講師、1977年には同大学の助教授を経て、1982年に九州大学工学部の助教授となりました。1984年には九州大学工学部の教授に昇進し、研究・教育活動に尽力しました。2001年には九州大学大学院工学研究院長・工学部長に就任し、大学の運営にも貢献しました。2005年には国立大学法人九州大学の理事・副学長に就任し、大学全体の発展に寄与しました。2006年からは独立行政法人産業技術総合研究所水素材料先端科学研究センター長を務め、水素材料研究の最前線で活躍しました。2010年には九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の所長代理に就任しています。2013年に九州大学名誉教授となり、長年の教育・研究活動に幕を閉じました。

研究分野

村上敬宜は、特に水素材料の研究で国際的に知られています。彼の研究は、材料力学、特に金属疲労の分野において重要な貢献をしています。微小欠陥や介在物が金属疲労に与える影響に関する研究は、材料の信頼性向上に大きく貢献しました。また、応力集中の概念に関する研究も、構造物の設計や安全性評価において重要な基礎となっています。

受賞歴

2009年には、産学官連携功労者表彰において日本経済団体連合会会長賞を受賞しており、その功績が広く認められています。

著書

村上敬宜は、多数の専門書を執筆しており、その中には材料力学、金属疲労、弾性力学に関するものが含まれています。これらの著書は、学生や研究者にとって重要な教科書や参考書として広く活用されています。

主な著書は以下の通りです。

『弾性力学』 養賢堂 (1985)
『金属疲労微小欠陥と介在物の影響』 養賢堂 (1993)
『材料力学』 森北出版 (1994)
『材料力学演習』 森北出版 (1996)
『Metal Fatigue: Effects of Small Defects and Nonmetallic Inclusions』 Elsevier Science (2002)
『応力集中の考え方』 養賢堂 (2005)
『材料力学 新装版』 森北出版 (2014)
『Theory of Elasticity and Stress Concentration』 Wiley (2016)
* 『Metal Fatigue: Effects of Small Defects and Nonmetallic Inclusions, Second edition』 Academic Press (2019)

村上敬宜は、教育者、研究者、そして産学官連携の推進者として、多岐にわたる分野で顕著な功績を残しました。その研究成果は、日本の工学界の発展に大きく貢献しています。

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