村上由規乃

村上 由規乃（むらかみ ゆきの）は、1994年5月8日に山口県で生まれた日本の女優である。現在は、株式会社マイターン・エンターテイメントに所属し、主に映画界を中心に精力的に活動している。

彼女のキャリアは、京都造形芸術大学（現在の京都芸術大学）の映画学科での専門的な学びから始まった。大学在学中に、映画監督の武正晴氏がメガホンをとった映画「赤い玉、」（2015年公開）のヒロインオーディションに挑戦し、その役を勝ち取った。これが彼女の女優としてのプロデビュー作となり、劇中では北小路律子という主要な役柄を演じた。このデビュー作での瑞々しい演技は高い評価を受け、国内有数の映画賞の一つである「キネマ旬報ベストテン」において、その年の新人女優賞の第7位に選ばれるという実績を残した。この選出は、若手女優としての確かな実力と今後の可能性を広く知らしめる契機となった。

村上は、多岐にわたる役柄に挑戦し、特に映画の世界での活躍が顕著である。デビュー作「赤い玉、」と同じ2015年には、早くも映画「サイケデリックノリコ」で主演を務め、女優としての存在感を強く印象づけた。その後も、人間の機微を描いた「たおやかに死んでいる」（2017年）や、昭和初期を舞台にした群像劇「菊とギロチン」（2018年）では女郎役として出演するなど、ジャンルを問わず多様な役に挑んでいる。

2018年には、主演作が相次いだ。映画「クマ・エロヒーム」と「いいことでありますように」の2作品で主役を演じ、表現者としての幅を広げた。翌2019年には「雪子さんの足音」に理江役で出演し、また同年公開の映画「オーファンズ・ブルース」でも主演を飾り、主演女優としての地位を確固たるものにした。

2020年も精力的に映画に出演している。ヒロインとして登場した「ロストベイベーロスト」をはじめ、「朝の夢」、「これが星の歩きかた」といった作品に参加した。また、徳島国際映画祭での上映が予定されていたが、開催中止に伴いオンラインで公開された映画「新青春」では、朝倉春香役を演じている。

2021年に入ると、下北沢を舞台にした青春群像劇「街の上で」にラーメン屋の女性として出演。また、現代社会における人間関係や恋愛を描いた「愛のくだらない」では金井栞役を演じ、物語の重要な一端を担った。2022年には、地域の歴史や文化を背景にした短編オムニバス映画「MADE IN YAMATO あの日、この日、その日」の一編で主演を務め、同年公開の映画「にわのすなば GARDEN SANDBOX」ではヨシノ役を演じるなど、コンスタントな活動を続けている。

近年の活動も活発であり、主演作品が多数控えていることも報じられている。2023年には「逃避(仮題)」「オクトーバー(仮題)」「うってつけの日」といった3本の主演映画が公開予定とされており、その期待の高さがうかがえる。2024年にも「走れない人の走り方」や「思い立っても凶日」に出演し、後者では横山未生役を演じた。さらに、2025年2月1日に公開が予定されている映画「オーガスト・マイ・ヘヴン」でも、城野譲役として主演を務めることがすでに発表されており、今後のさらなる飛躍が期待されている。

映画以外の活動としては、2019年に放送されたテレビドラマ「悪党」の第4話に出演したことがある。また、単に演じる側としてだけでなく、映画界全体への貢献も見られ、2022年には若手映画作家の登竜門として知られる「ぴあフィルムフェスティバル」において、セレクションメンバーとして予備審査員を務めるなど、多角的に映画文化に関わっている。

多忙な女優業の傍ら、趣味はギター演奏である。

村上由規乃は、大学で培った専門知識と、デビュー以降の多様な作品での経験を通じて、確かな演技力を身につけてきた女優である。特にインディーズ映画シーンにおいて、主演作や印象的な役柄を数多く演じ、その存在感を示してきた。人間の複雑な内面を表現することに長けており、今後の活躍がますます注目される存在と言えるだろう。

もう一度検索