村上給食

村上給食株式会社

村上給食株式会社（むらかみきゅうしょく）は、大阪府東大阪市に本拠を構える食品関連企業です。現在は、吹田市に本社を置く昭和化工株式会社の完全子会社として事業を展開しています。

本項では、昭和化工の子会社として新たに設立され、現在の事業を営む「新社」と、1965年の創業から2021年まで給食事業を展開し、後にMQ整理株式会社へと商号を変え解散・清算された「旧社」の両者について解説します。

概要（旧社）

村上給食の源流は、1965年5月に東大阪市で産声を上げた「美佳給食」にさかのぼります。その後、1978年3月には法人組織へと改められ、村上給食株式会社として新たな一歩を踏み出しました。活動エリアは大阪府を中心に、兵庫県、京都府、奈良県の広範囲に及び、主な事業として、一般企業向けの配送用弁当の製造・販売、さらには慶弔用などの仕出し弁当の製造から販売、使用済み容器の回収までを一貫して手掛けていました。

事業は着実に拡大し、特に2000年代に入るとその勢いは加速しました。2003年8月期には約76億3000万円という当時として過去最高の売上を達成し、この時期にはおよそ13000社もの顧客を持ち、1日あたり約8万食の弁当を提供するまでに成長しました。多様なニーズに応えるため、産業給食ブランド「かなえ」、中学校給食弁当、幼稚園向け給食「童」といった独自のラインアップを展開。また、一般企業の社員食堂や小学校の調理場へ専門人員を派遣し、給食や昼食の調理・提供を行う食堂受託事業も手掛けるなど、事業領域を広げました。こうした取り組みが実を結び、2007年8月期にも75億8237万円の売上を計上するなど、給食業界において重要な位置を占める企業となりました。

しかし、2008年の世界的な金融危機（リーマン・ショック）以降、経営環境は大きく変化しました。同業他社との競争が激化し、さらに手軽なコンビニエンスストアの弁当が広く普及したことで、主力の企業向け弁当市場は厳しさを増しました。加えて、食材の仕入れ価格高騰や、広範な配送網維持に伴うコスト増が経営を圧迫。これらの要因が重なり、2009年8月期には残念ながら債務超過に転落してしまいました。

経営再建に向け、旧社は中小企業再生支援協議会の協力を得ながら、金融機関への債務返済猶予（リスケジュール）を要請すると同時に、収益性の低い不採算部門の見直しを進めました。その一環として、豊中工場の閉鎖や奈良工場の売却などを実施。並行して、給食ラインアップの刷新や新商品の開発・投入といった営業努力も継続しました。しかし、厳しい事業環境の中で再生は難航し、特に2019年7月以降は収益の柱の一つであった学校給食の受注が失われたことが決定打となり、業績はさらに悪化。2019年8月期の売上は約29億円まで落ち込む事態となりました。

追い打ちをかけたのは、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大です。多くの企業でテレワークが導入され、従業員のオフィスへの出勤が減少したことにより、企業向け弁当の需要が激減しました。この極めて厳しい状況を打開するため、旧社は大阪府吹田市に本社を置く昭和化工株式会社に支援を求めました。昭和化工は事業承継の受け皿として、2021年2月に「村上給食準備株式会社」を設立。この新会社は、2021年6月1日付で旧社が展開していた給食事業の全てを譲り受け、同時に社名を現在の「村上給食株式会社」へと変更しました。

事業譲渡を終えた旧社は、同日付で商号を「MQ整理株式会社」と変更し、清算手続きへと移行しました。MQ整理は2021年11月1日の株主総会で解散を決議。その後、2022年1月25日に大阪地方裁判所へ特別清算開始の申し立てを行い、翌1月26日付で特別清算開始決定を受けました。この際の負債総額は約31億5000万円にのぼりました。MQ整理株式会社は、2022年4月20日をもって法人格が消滅し、その歴史に幕を下ろしました。

概要（新社）

現在の村上給食株式会社は、旧社の事業を円滑に引き継ぐ目的で、親会社である昭和化工が2021年2月に設立した村上給食準備株式会社がその前身です。2021年6月1日に旧社から事業一切を譲り受け、同日付で村上給食株式会社（新社）に商号を変更しました。昭和化工の100%子会社として、旧社が長年培ってきた事業基盤、顧客、ノウハウを活かし、給食および弁当事業を引き続き展開しています。

沿革

旧：村上給食 → MQ整理

1965年（昭和40年）5月：東大阪市にて美佳給食として創業。
1978年（昭和53年）3月：法人改組し、村上給食株式会社に社名変更。
1978年（昭和53年）7月：東大阪市七軒家に本社工場を開設。
1981年（昭和56年）：東大阪市高井田本通に高井田工場を開設。
1984年（昭和59年）3月：大阪市淀川区に淀川工場を開設。
1995年（平成7年）6月：神戸市兵庫区に神戸工場を開設。
1997年（平成9年）1月：姫路市飾磨区に姫路営業所を開設。
1999年（平成11年）10月：東大阪市川俣に川俣工場を開設。和幸総菜株式会社を設立。
2000年（平成12年）8月：加古郡稲美町にて播磨営業所を開設。
2001年（平成13年）10月：天理市南六条町に奈良営業所を開設。
2002年（平成14年）1月：東大阪市稲田新町に本社工場を新設。
2002年（平成14年）：京都市南区にて京都営業所を開設。
2003年（平成15年）2月：草津市追分町に近江営業所を開設。
2004年（平成16年）5月：天理市南六条町に奈良工場が操業開始。
2009年（平成19年）9月：淀川工場を淀川営業所に変更。
2009年（平成19年）11月：近江営業所を大津市中野に移転。
2010年（平成20年）11月：京都営業所を京都市伏見区に移転。
2011年（平成21年）11月：神戸工場を神戸営業所に変更。
2021年（令和3年）6月1日：昭和化工が設立した村上給食株式会社（新社）へ事業譲渡。これにより事業を停止し、同日付でMQ整理株式会社へ商号を変更。
2021年（令和3年）11月1日：株主総会にて解散を決議。
2022年（令和4年）1月26日：大阪地方裁判所より特別清算開始決定を受ける。
2022年（令和4年）4月20日：法人格が消滅。

新：村上給食

2021年（令和3年）2月：昭和化工の子会社として、村上給食準備株式会社として設立。
2021年（令和3年）6月1日：村上給食株式会社（旧社）より事業を譲受。これに伴い、商号を村上給食株式会社（新社）へ変更。

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