村山事件

村山事件について

村山事件（むらやまじけん）は、1963年12月に朝日新聞社内部で発生した大規模な社内紛争です。この事件は、社長の村山長挙に関連する出来事から始まり、新聞社の経営や編集体制に大きな影響を与えました。

事件の背景

事件の発端は、1963年3月に開催された「エジプト美術五千年展」という展覧会にさかのぼります。この展覧会は、朝日新聞社と東京国立博物館の共催によるものでした。会の最中、村山社長の妻である村山藤子が天皇・皇后に近づこうとしたところ、宮内庁の職員に制止されました。この出来事によって藤子は転倒し、骨折したとの報告がありました。

藤子はこの状況を受け、宮内庁に対する糾弾キャンペーンを編集部に指示しましたが、内部の調査によって彼女の主張は過剰であると判断されました。これにより、社内での緊張が高まりました。

株主総会と解任

同年12月24日に行われた午後の朝日新聞社の定時株主総会では、村山社主家が保有する株式の40.5パーセントを基に、村山社長の信任が問われる事態となりました。その結果、村山社長の妻に関連する問題で会社が困難な状況に立たされる中、販売部門の責任者であった永井大三が解任されることになりました。

この決定に対して、同社の業務に関与する役員たちが全員辞任してしまい、全国の新聞販売店も朝日新聞に対する入金を中止しました。これにより、社内の危機が深まっていくこととなりました。

編集部門の混乱

事件はさらにエスカレートし、編集部門にも大きな影響を及ぼしました。村山社長は1964年1月10日、編集局長の木村照彦を北海道支社長に左遷する命令を出しましたが、木村はこれを拒否しました。その結果、朝日新聞社では異常事態として編集局長が二人いる状態が発生しました。

この混乱を受けて、村山は1964年1月20日の役員会で社長を辞任することを決定しました。彼の辞任により、広岡知男を含む4人の取締役が代表取締役に任命され、経営体制が大きく変化しました。

新しい経営体制の確立

新社長には、元常務取締役で朝日新聞社顧問の美土路昌一が就任しました。同時に広岡は、論説主幹の森恭三らと共に実権を握り、社内の引き締めを進めていくことになります。1967年には広岡が社長に昇格し、村山家を経営から排除する方針を強力に推進しました。

結果と影響

このような村山事件は、朝日新聞社の体制改革に寄与しただけでなく、会社内部の権力構造にも大きく影響を及ぼしました。村山、永井、木村が社内で主導権を握っていた政治部次長の三浦甲子二も、この事件によって立場が脅かされ、最終的には他の職へ転出することとなりました。このように、村山事件は朝日新聞社の歴史において重要な転換点となった出来事となっています。

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