村山幸子

村山 幸子

村山 幸子（むらやま ゆきこ）は、1940年3月10日に東京都墨田区で生まれた日本の将棋界における元女流棋士です。かつては日本将棋連盟に所属し、女流棋士番号6番を与えられていました。特定の師匠を持たず、自らの力で棋士の道を切り開いた人物です。特に、1974年に日本の将棋界に初めて女流プロ棋士制度が導入された際、その栄えある第一期生として選ばれた六名のうちの一人として、将棋史に名を残しています。

プロ認定とその背景

村山氏がプロ棋士となるに至った背景には、アマチュア時代に積み重ねた確かな実績があります。女流アマ名人戦において、第1回（1968年）、第2回（1969年）、第3回（1970年）と、三年にわたり連続で準優勝という優秀な成績を収めました。これらの顕著な功績が高く評価され、1974年の女流棋士制度発足時に、プロとして活動するための資格を認められることとなりました。

女流公式戦の第一歩

村山幸子女流棋士の経歴の中で、最も歴史的な意義を持つ出来事の一つが、女流棋士による初の公式戦対局を行ったことです。1974年10月31日、将棋の聖地である東京将棋会館で、第1回女流プロ名人位戦トーナメントが開催されました。この記念すべき場で、村山女流初段（当時の段位）は寺下紀子女流初段（当時）と盤を挟みました。この対局こそが、女流棋士による公式戦として記録されている最初の対局であり、女流将棋の歴史がここから本格的に始まったことを示す、非常に重要な一局となりました。

棋歴と段位

プロ入り前の村山氏は、アマチュア最高峰の一つである女流アマ名人戦で、3年連続準優勝という抜群の安定感を見せていました。プロ認定とともに、1974年10月31日付けで女流初段となります。現役中の昇段は確認されていませんが、引退時には、長年の功労や規定に基づき、段位が進むのが一般的です。村山氏も1989年の引退と同時に、女流二段に昇段しました。

現役生活からの引退とその後

村山女流棋士は、1989年をもって現役を退きました。引退のきっかけは、その年の女流リーグ戦での成績が下位となり、女流棋士のスキルアップを目指す「女流育成会」への編入が決まったことでした。これを自身の現役生活に区切りをつける節目と捉え、競技の場から身を引くことを選択しました。

引退後もしばらく将棋連盟との関わりは続きましたが、2002年4月10日付けで日本将棋連盟を退会しました。

女流将棋界が産声を上げた黎明期において、その一期生としてプロの道を切り拓き、さらには公式戦の歴史的な第一歩を刻んだ棋士として、村山幸子氏の名前は将棋史において重要な位置を占めています。

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