村本福松

村本福松（1890年3月23日-1973年6月22日）は、日本の経営学界に多大なる貢献を果たした著名な学者です。大阪府大阪市に生まれ、1910年に大阪高等商業学校を卒業後、1919年には日本人として初めてハーバード大学経営学大学院でMBAを取得するという快挙を成し遂げました。この功績は、日本の経営学におけるアメリカ式経営手法の導入に大きく貢献したと評価されています。

帰国後、村本は日本の大学や研究機関で教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。1928年には旧制大阪商科大学の教授に就任、1942年には学長事務取扱を務めるなど、教育者として重要な役割を果たしました。その後、神戸商科大学、浪速大学、大阪府立大学、大阪市立大学、京都産業大学と、複数の大学で教授職を歴任し、その専門知識と経験を活かして教育・研究活動に励みました。さらに、大阪府立産業能率研究所にも携わるなど、その活動は多岐に渡ります。

村本の研究分野は非常に幅広く、経営学、商学、経営者論、中小企業論、広告論など多様なテーマを扱っていました。常に時代の変化を捉え、企業経営のあり方や経済状況の分析に鋭い洞察力を示し、数多くの論文や著書を発表しました。その著作は、日本の経営学の発展に大きな影響を与え、現代でも高い評価を得ています。代表的な著書として、『経営の論理』、『商工経営経済論』、『経営学原論』などがあり、これらは今日でも経営学の古典として読まれ続けています。特に『経営の論理』は、1962年に大阪市立大学商学博士の学位論文として発表され、彼の生涯の研究の集大成と言えるでしょう。

また、村本は東亜大学の設立にも関与していました。大学設立に尽力しましたが、残念ながら設立前に死去しました。

村本福松の学問的業績は計り知れません。彼の功績は、単に学問的な領域にとどまらず、日本の企業経営の近代化、ひいては日本の経済発展に大きく貢献したと言えるでしょう。彼の残した著作や研究は、現在でも多くの経営学徒にとって貴重な財産であり、今後の経営学の発展においても重要な指針となるでしょう。

彼の息子である村本芳郎氏も大阪府立大学名誉教授を務めるなど、父譲りの学問的才能を受け継いでいます。これは、村本福松という人物とその業績が、次世代にも大きな影響を与えていることを示していると言えるでしょう。

主な著書一覧は以下の通りです。

『福利施設は如何なる立場に於て奨励せらるべきものなるか』(日東社 工場パンフレット, 1926)
『商工経営経済論』(文雅堂, 1929)
『経営学原論』(千倉書房 商学全集, 1934)
『新販売工作十講』(千倉書房, 1934)
『大阪に於ける百貨店は果して飽和状態にあるか』(大同書院, 1937)
『生産管理』(千倉書房 工業経営全書, 1937)
『百貨店経営とその問題』(文雅堂, 1937)
『経営学概論』(経営学大系 千倉書房, 1938)
『商学通論 第1編 (総論)』(文雅堂書店, 1941)
『配給機構の理論』(千倉書房, 1941)
『経営経済の道理 翼賛経営体制の確立』(文雅堂, 1942)
『経営の論理』(産業経済社, 1961)

さらに、多くの共著や編著、論文にも携わっており、その活動は多岐にわたっています。これらの業績は、日本の経営学、ひいては日本の経済社会の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。村本福松の功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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