村瀬哲司

村瀬哲司：国際金融の第一人者

村瀬哲司氏は、1945年、旧満州国（現在の中国吉林省）に生まれました。福岡県立修猷館高等学校を経て、1968年、一橋大学商学部を卒業。在学中は藻利重隆ゼミに所属し、経済学研究の基礎を築きました。

卒業後は東京銀行（現三菱UFJ銀行）に入行し、銀行員としてキャリアをスタートさせます。長年にわたり銀行業務に携わり、専門性を高め、1996年には東京三菱銀行調査部長に就任。経済動向分析や金融政策に関する深い知識と経験を積みました。

銀行での経験を活かしつつ、村瀬氏は学術研究にも精力的に取り組みました。1999年には京都大学国際交流センター教授に就任。国際的な視点から日本の経済問題を研究し、教育に携わりました。

村瀬氏の研究の中心は国際金融論、特にアジアの通貨問題です。ユーロの成功を参考に、アジアにおける安定的な通貨圏の構築可能性を探求しました。2001年には、この研究成果をまとめた論文「アジア安定通貨圏：ユーロに学ぶ円の役割」で京都大学より博士（経済学）の学位を取得。この論文は、アジア通貨問題に関する重要な貢献として高く評価されています。

2008年には京都大学を定年退職、京都大学名誉教授の称号を受けました。その後、龍谷大学経済学部国際経済学科教授に就任し、後進の育成と研究活動を続けました。

村瀬氏の研究活動は、数々の著書や論文に結実しています。代表的な著書として、『アジア安定通貨圏—ユーロに学ぶ円の役割—』(勁草書房、2000年)、『東アジアの通貨・金融協力—欧州の経験を未来に活かす—』(勁草書房、2007年)などがあります。これらの著作は、アジアの通貨問題や国際金融協力に関する貴重な知見を提供し、多くの研究者や実務家にとって重要な参考文献となっています。また、D.バルクハウゼン著『マルクの幻想—ドイツ連銀の栄光と苦悩』や、ハンス・ティートマイヤー著『ユーロへの挑戦』などの翻訳を通して、国際的な研究成果を日本の読者に紹介する役割も果たしました。

村瀬哲司氏の研究と教育活動は、日本の国際金融研究に大きな貢献を果たしています。特に、アジア通貨問題に関する深い知見と豊富な経験は、今後のアジア経済の発展に大きく役立つものと期待されています。氏の研究は、単なる学術的な研究にとどまらず、現実の経済政策に重要な示唆を与えるものであり、その功績は高く評価に値します。 アジアにおける通貨統合や金融協力のあり方について、村瀬氏の今後の研究活動にも注目が集まっています。

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