勁草書房

株式会社勁草書房について

株式会社勁草書房は、東京都文京区水道に本社を置く日本の出版社で、特に哲学、社会学、文学、法律、経済学、政治といった広範なジャンルの書籍を中心に出版を行っています。1948年4月12日に金沢市の百貨店「大和」の出版部門として「勁草書房」が設立されました。

設立の背景と理念

創業者は「大和」の創業者の孫である井村寿二（じゅうじ）氏で、金沢医科大学（現・金沢大学医学部）を卒業後、「大和」に入社し、その後に勁草書房の設立に至りました。社名の「勁草」は、古典『後漢書』の一節から取り、強風に耐える草の姿を通して、本質的な強さを探求する姿勢を表しています。この考え方は、風が吹いても折れない草のように、困難に直面しても揺るがない信念が反映されています。

出版の歴史と成果

1968年に刊行された羽仁五郎の著書『都市の論理』は、同社の代表的なベストセラーとなり、社会に広く認知される瞬間となりました。また、1970年に株式会社として「大和」から分社化され、独立した運営を開始しました。資本金は5000万円に設定されており、出版業界において確固たる立ち位置を築くことに貢献しています。

井村寿二氏の遺稿集として知られる『異境有情 フィリピンの友と』は1990年に出版され、彼の思想や理念を現在に伝えています。

主な出版物

勁草書房では、数多くの著名な書籍を刊行してきました。その中でも特に重要な作品には以下のものがあります。

• - 『戸坂潤全集』
• - 『古在由重著作集』
• - 『河上徹太郎全集』
• - 『吉本隆明全著作集』
• - 『構造と力』（浅田彰著）
• - 『言語哲学大全Ⅰ～Ⅳ』（飯田隆著）
• - 『女という快楽』（上野千鶴子著）
• - 『権力の予期理論』（宮台真司著）
• - 『言語ゲームと社会理論』（橋爪大三郎著）
• - 『身体の比較社会学（1）』（大澤真幸著）
• - 『暴力のオントロギー』（今村仁司著）
• - 編集書『クィア・ジャパン』

これに加えて、英米の分析哲学に関連する書籍の翻訳や研究書、解説書も多く手掛けており、知的刺激を与える刊行物を送り出しています。

結語

勁草書房は、その設立以来、難解でありながら重要なテーマに対して挑戦し続け、学術的価値のある書籍を世に送り出してきました。今後も、哲学的思考を深めるための資料を提供し、学術界や一般読者に広く利用され続けることが期待されています。

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