村田全

村田全（むらた たもつ）は、20世紀の日本において数学史および数理哲学の分野で重要な貢献を果たした学者です。1924年に兵庫県で生まれ、2008年に生涯を閉じました。彼は立教大学の名誉教授であり、その学術的な業績は多岐にわたります。

村田は北海道帝国大学理学部を卒業後、慶應義塾大学において「Problems of the mathematical infinity : on some aspects of the concept of anti-set-theoretical totality（数学的無限についての諸問題）」というテーマで文学博士号を取得しました。彼の研究は、数学的な概念の深淵に迫るものであり、その後の研究活動の基盤となりました。

1971年、村田は立教大学の教授に就任し、1989年に定年退任するまで教鞭を執りました。退任後、桃山学院大学文学部の教授として教壇に立ち、1994年に退職しました。彼の教育者としての才能は、多くの学生に影響を与え、数学史研究の道を志す者を育てました。

1972年から1974年まで、村田はフランス国立科学研究センターの研究員として海外での研究活動にも従事しました。国際的な研究コミュニティとの交流を通じて、彼の研究はさらに深化し、幅広い視野を獲得しました。また、国際科学史アカデミーの会員としても、世界の科学史研究の発展に貢献しました。

村田全は、数多くの著書や翻訳書を出版しています。

主要な著書:

『数学をきずいた人々』
『数学史散策』
『数学と歴史のはざま』
『数学史の世界』
『日本の数学 西洋の数学－比較数学史の試み』
『数学と哲学との間』

主要な翻訳書:

マルセル・ボル『数学の歩み』
ジャン・イタール『整数論』
ガストン・カザノヴァ『ブール代数』
S.ボホナー『科学史における数学』
ブルバキ『数学史』
ランスロット・ホグベン『数学の世界』
ル・リヨネ編『数学思想の流れ 1・2・3』
A.K.サボー『数学のあけぼの ギリシアの数学と哲学の源流を探る』
G・カントル『超限集合論』
ヴァン・デル・ウァルデン『数学の黎明 オリエントからギリシアへ』

これらの著作や翻訳書は、数学史や数理哲学に関心を持つ読者にとって貴重な資料であり、彼の学術的な遺産を今に伝えています。

村田全は、日本の数学史研究において重要な役割を果たした人物であり、彼の業績は今後も長く評価され続けるでしょう。

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