村越潔

村越潔（むらこし きよし）は、1929年12月5日に生まれ、2011年8月27日に没した日本の著名な考古学者です。弘前大学の名誉教授として、長年にわたり考古学の研究と教育に尽力しました。彼の専門は、特に青森県を中心とした北日本の考古学であり、数多くの遺跡発掘調査を指揮し、その成果を広く社会に還元しました。

北海道北見市で生まれた後、幼少期に横浜市へ移り住みました。日本大学文学部史学科を卒業後、1953年には在学中に登呂遺跡の発掘調査に参加。この経験が、彼の考古学者としての道を決定づけたと言えるでしょう。その後、新潟県立柏崎高等学校の教諭を経て、1958年に弘前大学教育学部の助手として採用され、講師、助教授と昇進し、1978年には教授に就任しました。1995年に弘前大学を定年退官し、名誉教授の称号を受けました。退官後も、青森大学考古学研究所長、社会学部教授として教鞭を執り続けました。

村越潔の業績として特筆されるのは、1988年に砂沢遺跡で弥生前期の水田跡を発見したことです。この発見は、当時の稲作文化の伝播経路や、北日本における弥生文化の成立過程を解明する上で重要な意味を持ちました。また、青森県文化財保護審議会会長、青森市史・浪岡町史編集委員長などを歴任し、地域文化の保護・発展にも大きく貢献しました。

著書も多数あり、代表的なものとして『円筒土器文化』（雄山閣出版、1974年）、『亀ケ岡式遺跡』（ニュー・サイエンス社、1984年）などがあります。これらの著書は、専門家だけでなく、一般の読者にもわかりやすく解説されており、考古学への関心を広げる役割を果たしました。また、『青森県の歴史』（山川出版社、2000年）では、共著者の一人として、青森県の歴史を多角的に分析し、地域史研究に新たな視点を提供しました。

村越潔は、亀ヶ岡石器時代遺跡や三内丸山遺跡など、青森県を代表する遺跡の研究にも深く関わりました。これらの遺跡は、日本の先史文化を代表するものであり、彼の研究によって、その歴史的意義がより深く理解されるようになりました。

村越潔の功績は、考古学研究にとどまらず、地域文化の振興にも及びます。彼の情熱と努力は、後進の考古学者や地域社会に大きな影響を与え、その遺産は今もなお、青森県の文化遺産として大切にされています。

主な著書リストは以下の通りです。

『円筒土器文化』雄山閣出版 考古学選書 1974
『原始時代』北方新社 青森県の文化シリーズ 1975
『原始時代の人と生活』北方新社 青森県の文化シリーズ 1977
『青森県の原始時代』北方新社 青森県の文化シリーズ 1980
『亀ケ岡式遺跡』ニュー・サイエンス社 考古学ライブラリー 1984
『青森に考古学を学んで』北方新社 2001
* 『青森県の歴史』山川出版社 2000年 (共著)

もう一度検索