来々軒

来々軒（らいらいけん）

来々軒は、東京府東京市浅草区浅草新畑町（現在の東京都台東区浅草1丁目辺り）に位置し、大衆的な料理店としてラーメンを提供していました。特に「東京ラーメン（醤油ラーメン）」の草分けとして知られ、ラーメン店のパイオニアかつ原点とも言える存在です。

概要

1910年（明治43年）に浅草で創業した来々軒は、当時すでに存在していた中国料理店とは一線を画し、庶民的な店として親しまれました。ラーメン、ワンタン、シュウマイなどを初めて提供し、大衆的な人気を博しました。また、中華丼や天津飯の発祥店とも称されることがあります。

浅草の来々軒は1944年（昭和19年）に一度閉店しましたが、戦後の1945年（昭和20年）に東京駅八重洲口に新たな店を構え、再出発しました。しかし、創業家の3代目にあたる尾崎一郎には後継者がなく、1976年（昭和51年）に惜しまれつつ閉店しました。

来々軒の血を引く店として、千葉市の進来軒や郡山市のトクちゃんがあり、特にトクちゃんでは期間限定で創業者の子孫から受け継いだレシピそのままのスープと麺を使用した復刻版支那そばが提供されることがあります。また、来々軒で働いていた傅興雷が1933年（昭和8年）に独立し、大森（後に目黒区祐天寺に移転）に開業した来々軒が現存しています。

2020年には、創業者の子孫の協力を得て「浅草来々軒」が新横浜ラーメン博物館にオープンし、話題を呼びました。現在は、発祥の地である浅草に2023年を目途に店舗の復活開業を目指しています。なお、浅草橋駅付近にも『来々軒』を名乗る店がありますが、創業家の系統とは無関係とされています。

沿革

1910年（明治43年） - 初代・尾崎貫一が横浜中華街の中国人（広東省出身）12名を招き、浅草公園に来々軒を開業。
1922年（大正11年） - 初代・貫一の死去により長男･新一が経営を引き継ぐ。
1927年（昭和02年） - 夫・新一の死去により妻･あさが経営を引き継ぐ。この時、11歳であった長男・一郎の子育てもあり、家業を維持するため、堀田久助（義兄）および高橋武雄（義弟）の補佐により運営。
1935年（昭和10年） - 一郎が商業学校を卒業して家業を継ぐ。堀田久助は独立して上野来々軒を創業。
1944年（昭和19年） - 尾崎家の息子3人が出征したため、浅草の店を閉店。
1945年（昭和20年） - 一郎が戦地から復員し、東京駅八重洲口に来々軒を新たに出店。
1976年（昭和51年） - 廃業。
2020年（令和02年）10月14日 - 新横浜ラーメン博物館に店舗『淺草 来々軒』を構える形で復活。

関連項目

* 東京ラーメン

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