復員

復員とは

復員（ふくいん）とは、軍隊が戦時体制から平時体制に切り替わる際に、兵士を動員状態から服務待機に戻し、帰国させる過程を指します。この過程において、復員軍人は軍務を解かれ、故郷へ帰ることとなります。また、復員を実施するための法令である復員令（ふくいんれい）が存在し、この法律が復員プロセスを支えています。

復員兵（ふくいんへい）は、復員後に帰郷した兵士たちのことを指し、彼らの中には戦場での負傷により身体障害を抱える者や、心的外傷後ストレス障害（PTSD）に苦しむ者も少なくありません。これらの兵士は、特に「傷痍軍人」と呼ばれることがあります。

各国における復員

日本

日本における復員の歴史は、特に第二次世界大戦後に顕著でした。戦後、外地に派遣されていた軍隊は現地で連合国軍に降伏し、武装解除を受けた後、内地へ帰還することとなります。この際、内地に移動した兵士は復員除隊となり、軍隊からの退職が復員と混同されがちですが、実際には復員と除隊・退役は別の手続きです。海軍の場合は「復員」という言葉ではなく、「解員（かいいん）」という用語が使われました。

また、日本は第二次世界大戦終了後に、第一復員省と第二復員省を創設し、復員作業に取り組みました。しかし、終戦後も社会復帰を果たせずに治療を受ける者は「未復員」として扱われ、彼らの支援が求められてきました。

アメリカ

アメリカでは、1944年に復員兵援護法（the G.I. Bill of Rights）が制定され、数多くの退役軍人が高等教育を受ける機会を得ました。この法律は、退役後の生活向上に大きく寄与し、その後の兵士たちの生活を支える基盤となりました。

さらに、アメリカには多くの退役軍人組織が存在し、1783年設立のシンシナティ協会や1899年設立の対外戦争退役軍人会、1919年設立の米国在郷軍人会などがあります。これらの団体は、退役軍人の権利擁護と生活支援を行っており、11月11日は「復員軍人の日（Veteran’s Day）」として祝日とされています。

関連作品

復員というテーマは、文学や映像作品においても多く取り上げられています。以下にいくつかの関連作品を紹介します。

小説

• - 『獄門島』 横溝正史
• - 『犬神家の一族』 横溝正史
• - 『復員殺人事件』 坂口安吾
• - 『砕かれた神: ある復員兵の手記』 渡辺清
• - 『帰郷』 浅田次郎
• - 『失踪』 ティム・オブライエン

映画

• - 『我等の生涯の最良の年』(1946年、ウィリアム・ワイラー監督)
• - 『新悪名』(1962年、森一生監督、大映)
• - 『ランボー』(1982年、テッド・コッチェフ監督)
• - 『瀬戸内少年野球団』(1984年、篠田正浩監督)
• - 『7月4日に生まれて』(1989年、オリバー・ストーン監督)
• - 『8月のメモワール』(1994年、ジョン・アヴネット監督)
• - 『サイダーハウス・ルール』(1999年、ラッセ・ハルストレム監督)
• - 『ある愛の風景』(2004年、スザンネ・ビア監督)
• - 『勇者たちの戦場』(2006年、アーウィン・ウィンクラー監督)

コミック

• - 『極東事変』 大上明久利
• - 『蜜の島』 小池ノクト

参考文献

復員に関する詳細な資料は、『復員関係史料集成 全12巻』などに収録されています。

復員の過程は、兵士たちにとって大きな転機であり、社会における彼らの役割や権利についての理解が深まることが重要です。復員後のサポート体制を整えることで、彼らが新たな生活を築けるような社会が求められています。

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