来島海峡第二大橋

来島海峡第二大橋

概要

瀬戸内海の複雑な潮流で知られる来島海峡に架かる三連吊橋、来島海峡大橋。その中で、愛媛県今治市本土側と馬島（うましま）を結ぶ二番目の橋が、来島海峡第二大橋（くるしまかいきょうだいにおおはし）です。この橋は、本州と四国を結ぶ『しまなみ海道』、正式には西瀬戸自動車道の一部として、重要な役割を担っています。具体的には、今治市本土側の沖合に設けられた海上アンカーブロック4A地点から馬島までを結んでいます。

構造と特徴

来島海峡第二大橋は、主塔から吊られた主ケーブルによって橋桁を支える吊橋形式を採用しています。その中でも、2径間2ヒンジ補剛箱桁吊橋という形式が用いられています。一般的な長大吊橋は、明石海峡大橋のように主塔間の主径間と、そこから両端部のアンカーブロック等に至る側径間の全てをハンガーロープで吊る『3径間形式』が主流です。あるいは、下津井瀬戸大橋のように、片側のみ吊る『単径間形式』も見られます。

しかし、来島海峡第二大橋の構造には際立った特色があります。それは、二つの主塔を持つものの、主塔と今治市本土側のアンカーブロック間は補剛桁を吊る一方、馬島側の補剛桁は吊らない『片側のみ桁を吊らない2径間形式』を採用している点です。このような構造は比較的珍しく、来島海峡の特異な地理的条件や他の径間との連続性などを考慮して選択されたと考えられます。箱型の補剛桁が採用されているのも特徴の一つです。

橋の諸元

この長大吊橋の主な仕様は以下の通りです。

全長: 1,515メートル
中央径間長: 1,020メートル
道路構造: 第1種3級
設計速度: 80km/h（規制速度は70km/h）
車線数: 4車線

これらの諸元は、幹線道路としての高い規格を示しています。

建設経緯

来島海峡第二大橋は、本州四国連絡橋尾道・今治ルート（しまなみ海道）の一部として計画・建設されました。

着工: 1988年（昭和63年）5月15日
供用開始: 1999年（平成11年）5月1日

およそ11年の建設期間を経て完成し、供用が開始されました。

併設道と交通規制

自動車専用道路である西瀬戸自動車道の車道に加え、来島海峡第二大橋には歩行者・自転車・原動機付自転車（125cc以下）が通行できる専用道が併設されています。この専用道は、橋上からの眺めを楽しむことができるため、観光やサイクリングでしまなみ海道を訪れる人々に利用されています。

瀬戸内海に架かる橋であるため、特に強風時には安全確保のための交通規制が実施されます。

風速がおよそ15メートル毎秒に達した場合: 歩行者・バイク道は通行止め。自動車専用道路部も二輪車の通行が禁止され、四輪車は時速50キロメートルの速度規制となります。
* 風速がおよそ25メートル毎秒を超えた場合: 自動車専用道路部が全面通行止めとなります。

これらの規制は、橋の構造保全と利用者の安全のために厳格に適用されます。

しまなみ海道における役割

来島海峡第二大橋は、来島海峡大橋を構成する他の二つの橋（来島海峡第一大橋、来島海峡第三大橋）と共に、瀬戸内海の島々を縫うように本州と四国を結ぶ大動脈の一部を成しています。その独特な構造と美しい姿は、来島海峡の景観に溶け込み、日本の長大橋建設技術の象徴としても知られています。物流や人々の交流を促進する交通インフラとして、また多くの人々を惹きつける観光ルートの一部として、重要な役割を果たしています。

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