アンカーブロック

アンカーブロック：吊橋を支える巨大な要

アンカーブロックは、吊橋においてメインケーブルを固定するための巨大なコンクリートブロックであり、アンカレイジ、アンカーレイジ、アンカーレッジ（anchorage）とも呼ばれます。

役割と構造

アンカーブロックは、吊橋のメインケーブルが持つ強大な張力を、その自重によって受け止め、地盤へと安全に伝達する役割を担っています。そのため、アンカーブロックの基礎部分、そしてそれを支える地盤は、非常に強固なものでなければなりません。

主塔からアンカーブロックへと繋がるケーブルは、途中で「スプレーサドル」と呼ばれる受け台を経由します。このスプレーサドルは、ケーブルを大きく下方に曲げる役割を果たします。メインケーブルを構成する個々のケーブルは、スプレーサドルの主塔側では並行に束ねられていますが、反対側では放射状に広がり、アンカーブロック内部に設けられたアンカーフレームの異なる箇所へとそれぞれ接続されます。この構造により、ケーブルの張力が効率的に分散され、アンカーブロック全体で受け止められるようになっています。

また、ケーブルが錆によって腐食することを防ぐため、アンカーブロック内部は厳密な湿度管理が行われています。

景観への配慮

長大橋においては、メインケーブルの張力に耐えるために、アンカーブロックが巨大化することは避けられません。しかし、景観への影響を考慮し、アンカーブロックを地中に埋め込むなどの工夫が凝らされている事例もあります。

例えば、しまなみ海道（西瀬戸自動車道）の来島海峡第三大橋今治側アンカーブロックは、糸山半島の地中に埋め込まれており、周囲の景観を損なわないように配慮されています。同様に、瀬戸大橋（瀬戸中央自動車道）の下津井瀬戸大橋下津井側のアンカーブロックも、鷲羽山の山腹に埋め込まれています。

アンカーブロックが登場する創作物

森博嗣の小説『そして二人だけになった』には、アンカーブロックの内部に核シェルターが兼設されているという設定が登場します。

まとめ

アンカーブロックは、吊橋の安全を根幹から支える、非常に重要な構造物です。その巨大さからは想像もつかないほど、緻密な設計と施工、そして維持管理が行われています。橋を渡る際には、その存在に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

参考資料

* 藤川寛之著、財団法人交通研究協会発行『本州四国連絡橋のはなし-長大橋を架ける-』（成山堂書店、2002年、ISBN 4-425-76111-1）

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