東アフリカ大学

東アフリカ大学 (University of East Africa)

「東アフリカ大学（University of East Africa）」という名称は、歴史上、全く異なる二つの教育機関を指して用いられています。一つはかつて東アフリカの三カ国に存在した地域共同大学、もう一つは現在、ソマリアとソマリランドにキャンパスを持つ大学です。

かつて東アフリカに存在した大学

かつての東アフリカ大学は、1963年に設立されました。これは、イギリス植民地からの独立が進む中で、東アフリカ地域における高等教育の発展と地域協力の促進を目的として設立された、画期的な試みでした。ケニア、タンザニア（当時はタンガニーカとザンジバル）、そしてウガンダの三カ国が共同で運営に関わりました。この大学は、各国の主要都市にキャンパスやカレッジを持つ複合大学としての形態をとっていました。例えば、ウガンダのマケレレ・カレッジ（後のマケレレ大学）、ケニアのロイヤル・カレッジ・ナイロビ（後のナイロビ大学）、タンザニアのユニバーシティ・カレッジ・ダルエスサラーム（後のダルエスサラーム大学）などが、この大学の構成校として機能していました。

設立から数年間、東アフリカ大学は地域全体の高等教育水準向上に貢献しましたが、各国の独立が確固たるものとなり、それぞれが独自の教育政策を推進する中で、この地域共同大学の維持は難しくなりました。各国が自国の高等教育システムを確立し、国家の発展に即した教育を行う必要が生じたためです。

こうした背景から、設立わずか7年後の1970年、東アフリカ大学は発展的に解体され、その構成校はそれぞれ独立した国立大学となりました。具体的には、ウガンダのマケレレ大学、ケニアのナイロビ大学、タンザニアのダルエスサラーム大学です。これら三つの大学は、現在もそれぞれの国を代表する高等教育機関として、重要な役割を担っています。かつての東アフリカ大学は、短命ではありましたが、この地域における近代的高等教育の基盤を築き、現在の各国立大学の礎となった点で、歴史的に重要な存在と言えます。

現在、ソマリアに存在する大学

一方、同じく東アフリカ大学（East Africa University）という名称を持つ別の大学が、現在ソマリアおよびソマリランドに存在します。この大学は、かつての地域共同大学とは直接的な歴史的繋がりはありません。主にソマリア北東部などを中心に、複数のキャンパスを展開しています。1990年代以降のソマリア内戦を経て、国内の高等教育システムが深刻な打撃を受けた後、教育機会の復旧・拡充を目指して設立された大学の一つと考えられています。具体的な設立年や経緯に関する詳細は限られていますが、困難な状況下で地域社会への教育提供を使命として活動しています。

このソマリアの東アフリカ大学は、かつての東アフリカ大学が解体された後に設立されており、所在地や歴史的背景、運営主体も全く異なります。したがって、両者は名称の類似性に着目する際、混同しないよう注意が必要です。

結論として、「東アフリカ大学」という語は、1963年から1970年まで存在した地域共同大学と、現在ソマリアおよびソマリランドに存在する大学という、二つの異なる教育機関を指すことを理解しておくことが重要です。

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