東オーストラリア海流

東オーストラリア海流（East Australian Current）は、オーストラリア東部沿岸を、オーストラリア北方からタスマニア沖にかけて南下する海流です。この海流は南太平洋における反時計回りの亜熱帯循環（大環流）の西側境界流を構成しており、北太平洋における黒潮に相当する役割を果たしています。

海流の特性

東オーストラリア海流は、その流量や流速が季節によって大きく変動することが特徴です。特に、2月から3月にかけては、南赤道海流の一部がニューギニア北方で反転し南下するため、海流が特に強くなります。これは、熱帯域からの暖水がより多く供給されるためと考えられています。

海洋生態系への影響

東オーストラリア海流は、沿岸域の海洋生態系に大きな影響を与えています。暖かく栄養の少ない海水を運ぶため、一般的には沿岸の生物生産性は低い傾向にあります。しかし、局所的には湧昇などの現象によって栄養塩が供給され、生物が豊かな場所も存在します。また、海流は海洋生物の分布を左右する重要な要因であり、様々な生物が海流に乗って移動します。

映画『ファインディング・ニモ』との関連

2003年に公開されたアニメ映画『ファインディング・ニモ』では、主人公の魚たちがシドニーへ向かう際に、この東オーストラリア海流を利用するシーンが描かれています。映画の中では、海流に乗って高速で移動する様子がコミカルに表現されており、一般の人々にも海流の存在が広く知られるきっかけとなりました。ただし、映画での描写はエンターテイメント性を重視したものであり、実際の海流の特性とは異なる点も存在します。

地球温暖化の影響

近年、地球温暖化の影響により、東オーストラリア海流の性質が変化している可能性が指摘されています。海水温の上昇や海流の強化などが観測されており、これらが海洋生態系にどのような影響を与えるか、今後の研究が待たれます。

東オーストラリア海流は、オーストラリア東岸の気候や海洋環境を大きく左右する重要な要素であり、その変動は漁業や観光業など、様々な分野に影響を及ぼします。継続的な観測と研究を通じて、海流のメカニズムをより深く理解することが重要です。

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