東ケト会

東ケト会：椎名誠と仲間たちの野外探検

東ケト会は、作家の椎名誠氏が中心となって組織された、ユニークな野外キャンプ会「東日本何でもケトばす会」の略称です。1960年代中頃に発足し、日本の離島やキャンプ地を舞台に、テントを張り、焚き火を囲んで宴会を楽しむことを主な活動としていました。このグループは、第一次あやしい探検隊とも呼ばれ、その自由奔放な活動は多くの人々に影響を与えました。

会の成り立ちと活動

東ケト会の活動は、1968年の琵琶湖合宿から本格的に始まりました。彼らは独自の理論誌『月刊おれの足』を発行し、その活動内容を記録しました。椎名誠氏の著作『わしらは怪しい探検隊』シリーズで、その求道的ではない、型破りな活動が紹介されると、全国に同様のサークルが誕生しました。

主要メンバーとしては、椎名誠氏の他、イラストレーターの沢野ひとし氏、当時「本の雑誌」社社長であった目黒考二氏、弁護士の木村晋介氏などが挙げられます。彼らは東ケト会での活動と並行して、椎名誠氏の映画制作にも深く関わり、スタッフや出演者として活躍しました。

東ケト会の特徴として、必要な物品や食料は必ず出発地から運び込むこと、参加者は男性のみであること、そして「ドレイ」と呼ばれる下働き役が存在することが挙げられます。初期のドレイメンバーには、後に編集者となった沢田康彦氏、本の雑誌社社員の上原ゼンジ氏、サラリーマンの米藤俊明氏などがいました。ドレイは、行き先も持ち物も知らされないまま準備をしなければならないという、ある種独特な役割を担っていました。

また、東ケト会は八丈島に「第一東ケト丸」という船を共同保有していましたが、これは台風で流失してしまいました。

発展的解消と新たな展開

時が経ち、メンバーの高齢化や社会的な制約から、以前のような自由な活動が難しくなったため、東ケト会は発展的に解消し、「第二次あやしい探検隊」へと移行しました。この「いやはや隊」は、椎名誠氏を中心に、写真家の中村征夫氏、カヌーイストの野田知佑氏、辺境写真家の佐藤秀明氏、山岳写真家の岡田昇氏、冒険家の風間深志氏、ローリー・イネステーラー氏、越谷英雄氏といった、キャンプの専門家たちが集結しました。

いやはや隊では、料理長の林政明氏が腕を振るい、「リンさんチャーハン」や「フキの豆板醤炒め」、「リンさん漬け」といった料理が人気を博しました。しかし、1990年代に入ると、椎名誠氏が映画制作に注力するようになり、いやはや隊の活動は次第に縮小していきました。

2000年代に入ると、釣りジャーナリストの齋藤海仁氏らをメンバーに迎え、「第三次あやしい探検隊」として「怪しい雑魚釣り隊」が結成され、新たな活動が始まりました。2015年には、怪しい雑魚釣り隊の10周年イベントが新宿で開催され、多くのファンが集まりました。

主なメンバー

東ケト会

椎名誠（隊長）
沢野ひとし（初代料理長）
目黒考二（釜炊き担当料理人）
長谷川智（二代目料理長）
木村晋介

いやはや隊

椎名誠（隊長）
林政明（料理長）
野田知佑
中村征夫

雑魚釣り隊

椎名誠（隊長）
高橋攻（長老）
小迫剛（料理長）
齋藤海仁（エース）

年表

1963年 - 東ケト会 結成
1968年 - 第一回遠征・琵琶湖キャンプ
1980年 - 『わしらは怪しい探険隊』刊行
1985年 - 四万十川キャンプ（いやはや隊）
2005年 - 雑誌「つり丸」にて雑魚釣り隊の連載開始

主な作品

『わしらは怪しい探険隊』(椎名誠)
『あやしい探検隊 北へ』(椎名誠)
『春夏秋冬いやはや隊が行く』(椎名誠)
『わしらは怪しい雑魚釣り隊』(椎名誠)

東ケト会とその後の探検隊は、型にはまらない自由な発想と、自然を愛する心、そして仲間との絆を大切にする姿勢で、多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索