東亜同文書院大学 (旧制)

東亜同文書院大学の歴史と特徴

概要

東亜同文書院大学は、1939年に上海で設立された私立大学です。その前身は1899年に南京で設立された南京同文書院で、後に上海に移転しました。大学は1945年に日本の敗戦により閉校するまで、約6年の間運営されていました。大学の主な焦点は商務科であり、その他にも政治科や農工科が設けられ、中国人学生向けの中華学生部も一時設立されました。このように、東亜同文書院大学は中日間の教育交流の場としての役割を果たしました。

設立の経緯

東亜同文書院の設立は、東亜同文会という日本の団体によるものでした。平和的な中日関係を築くため、中外の実学を教授し、日本と中国の英才を育成することを目的としていました。初代院長の根津一は、学校の理念として「中外の実学を講じ、中国の富強の本を立てる」ことを掲げ、儒教の道徳教育を基軸にしながら、簿記などの実用的な学問を重視しました。

学生構成

学生は、日本政府や地方自治体からの公費支援を受ける「公費生」と自ら学費を負担する「私費生」の2種類に分かれていました。このように国の支援を受けつつ、国際性を持つ学び舎として機能していました。

学問体系と特色

東亜同文書院大学では、特に商務科に力を入れており、国際貿易に必要な知識や能力を身につけるためのカリキュラムが組まれました。政治科は官僚やメディア関係者を育成することに特化しており、農工科は技術者の養成を目指しました。それぞれの学科では、実践的かつ理論的な教育が施され、学生たちは実社会で通用する知識を得ることを目指しました。

運営と資金

東亜同文書院大学は、私立大学でありながら、約75％の収入を日本政府や地方自治体からの国庫補助や学費支援によって賄う特異な存在でした。このことから、大学は国の政策による影響を受けることが多く、運営においても国との密接な関係がみられました。

学生生活と活動

学生たちは、学問だけでなく、クラブ活動や学生運動にも積極的に参加していました。特に1930年代には、共青団の活動を中心に、学生運動が活発化し、日本国内外での活動に従事していたことでも知られています。このような学生たちの姿勢は、大学における自由な学びの環境を反映していました。

建物と設備

大学は、初期には仮校舎や寄宿舎を使っていましたが、1917年に虹橋路に校舎を設置し、広大な敷地に教育施設が整備されました。しかし、1937年の第二次上海事変による接収や火災により、多くの校舎が焼失してしまいました。これにより、長崎や海格路などの臨時校舎が使用されることになります。

閉校とその影響

1945年、日本の敗戦により国に接収され、最終的に東亜同文書院大学は閉校されました。その後、元教職員や学生たちが中心となり、愛知大学の設立に尽力しました。愛知大学は、東亜同文書院大学の精神を受け継ぎ、さらなる教育の発展に貢献しています。

総括

東亜同文書院大学は、日本と中国の架け橋として多くの人材を輩出し、地域研究や文化交流の重要な場を提供しました。その教育理念や活動は、現在でも多くの人々に影響を与えており、その存在は歴史の中で意義深いものとなっています。

もう一度検索