東京 E-Prix

東京E-Prix：日本の公道に新たな歴史を刻んだレース

2024年3月、東京ビッグサイトとその周辺道路を使った仮設コースで、日本初の本格的な公道レース「東京E-Prix」が開催されました。フォーミュラE世界選手権の一戦として行われたこのレースは、予選から決勝までを一日でこなす、ダイナミックなイベントでした。東京都が推進する環境政策『ゼロエミッション東京』の一環として開催されたこのレースは、電気自動車によるレースという点でも、環境への意識の高さを示しています。

夢の実現：長年の構想と数々の困難

日本の公道で本格的な自動車レースを開催するという構想は、1980年代以前から存在していました。しかし、道路使用許可の取得や安全確保といった課題が立ちはだかり、長年実現に至りませんでした。1990年代には、お台場でのF1開催計画や、複数の有力関係者による「東京グランプリの開催をめざす会」の発足など、具体的な計画も複数ありました。しかし、政治的な支援や警察との協力、安全対策といった問題がクリアできず、いずれも実現には至りませんでした。三宅島での公道レース計画も、安全性の懸念から実現には至りませんでした。

フォーミュラEの登場と新たな転機

2014年にスタートしたフォーミュラEは、都市中心部でのレース開催を特徴とする国際レースシリーズです。フォーミュラEは、早い段階から東京での開催を働きかけていましたが、日本の規制や仲介業者の問題など、多くのハードルがありました。それでも、六本木や丸の内でのデモ走行などを通じて、開催に向けた機運を高めていきました。

小池都知事の強力な後押し

転機となったのは、2016年に就任した小池百合子東京都知事の取り組みです。小池都知事は、『ゼロエミッション東京』という環境政策を掲げており、その実現に向けた取り組みの一環として、フォーミュラEの誘致を強く推進しました。小池都知事の政治的リーダーシップと、東京都の積極的な姿勢が、長年の課題解決に繋がりました。

開催決定と準備

2022年10月、東京都とフォーミュラE運営会社との間で、2024年春に東京でフォーミュラEを開催する協定が締結されました。2023年6月には、2023-24シーズンの開催カレンダーが承認され、東京E-Prixの開催が正式に決定しました。東京都、フォーミュラE関係者、そして日本のモータースポーツ関係者にとって、長年の夢が叶った瞬間でした。

東京E-Prixの意義

東京E-Prixは、単なるモータースポーツイベントではありません。日本の公道レースの歴史に新たな1ページを刻んだだけでなく、環境問題への意識の高まりを示す象徴的なイベントとなりました。電気自動車レースであるフォーミュラEは、環境先進都市を目指していく東京の姿を世界に発信する役割も担いました。また、長年実現しなかった公道レースが、政治的な後押しと関係各所の協調によって実現したことは、日本のイベント開催における大きな成功事例として、今後の様々なイベント開催にも大きな影響を与えるでしょう。関係者にとっての努力の結晶である東京E-Prixは、未来への希望と、日本のモータースポーツの可能性を示す、記憶に残るレースとなりました。

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