東京デザインウィーク火災死亡事故

東京デザインウィーク火災死亡事故

2016年11月6日、東京で開催されたデザインイベント「TOKYO DESIGN WEEK 2016」において、悲劇的な火災事故が発生しました。この事件では、新宿区の明治神宮外苑に設置された木製の展示作品が炎上し、中にいた5歳の男児が命を失うという痛ましい結果となりました。

事故の概要

火災は午後5時15分頃、出展されていた作品『素の家』から発生しました。この作品は、日本工業大学の学生たちによって制作されたもので、木枠を使ってジャングルジムのように構築されていました。作品の内部には、カンナ屑状に加工された木くずが装飾されており、来場者はそれに登ったりすることができる体験型アートでした。しかし、日が暮れ始めた頃、点灯された投光器が木くずに熱を加え、それが引火する原因となりました。

当時その場にいた男児が全身にやけどを負い、病院に搬送されたものの、最終的に死亡が確認されました。また、救出作業中に父親や近くにいた男性も怪我を負い、入院を余儀なくされました。

火災の原因と背景

火災の原因として考えられるのは、投光器の白熱電球がカンナ屑に近づいていたことです。作品制作者側は、発火のリスクを理解していた形跡があり、火災が起こるとは想定していなかったと主張していますが、安全対策に不備があったことは否定できません。一方で、イベント主催者は「厳しい基準を設けている」としつつも、600を超える作品の詳細を確認するのは困難であることを認めました。

火災が発生した後も主催者は入場制限を行いながらイベントを続行しましたが、その理由は、地方から参加している人々のために展示を続けたかったからだと説明されました。混乱を避けるために火災の詳細を公表しなかったことで批判され、翌日のイベントは中止となりました。その後2022年までイベントは開催されないことが決まります。

社会的反響と法的措置

事故の後、主催会社がボランティアスタッフに向けて送った忘年会の案内がネット上で拡散され、その内容に対する批判が高まりました。これにより、同年の忘年会は中止され、主催者側は公式サイトで謝罪する事態に至りました。

2019年には、警視庁がイベント主催者や出展者を業務上過失致死傷の容疑で書類送検しました。出展者のうち2人は、重過失致死傷罪で起訴されましたが、主催者ら4人は不起訴となりました。事故の後、男児の両親は日本工業大学とイベント主催会社を相手に約1億2,000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。和解が成立するも、イベント主催者に対する訴訟は続行されました。

刑事裁判では、出展者2人が禁錮10ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。ただし、弁護人が控訴したため、審理は続いています。最終的に東京簡易裁判所は、過失致死傷罪で被告2人に対して罰金50万円の判決を下しました。これらの過程を通じて、安全管理の重要性と、イベントにおける火災防止対策の強化が再認識されています。

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