東京ノーヴイ・レパートリーシアター

TOKYO NOVYI・ARTは、2004年4月に設立されたレパートリー・シアター形式の劇団です。かつては東京ノーヴイ・レパートリーシアターという名称で活動していました。本拠地は東京都世田谷区下北沢にあり、2015年3月27日には東京都から特定非営利活動法人としての認定を受けています（法人番号1010905001272）。一座の芸術監督を務めるレオニード・アニシモフ氏は、ロシア功労芸術家の肩書を持つ人物です。

この劇団は、劇団京、ペレジヴァーニエ・アートシアター、スタジオ・ソンツェという三つの劇団が結集して創立されました。その活動範囲は演劇公演のみにとどまらず、演劇を主題としたアートサロンの開催、国際交流を目的としたシンポジウム、そして俳優向けのワークショップなど、多岐にわたります。

特定非営利活動法人としての活動趣旨は、「豊かな心の生活のある社会」を実現することにあります。この理念に基づき、広く一般市民に門戸を開放し、時空間を超越する創造的な舞台芸術を追求しています。演劇界を担う俳優やスタッフの人材育成に力を入れるとともに、戯曲の上演や鑑賞を取り巻く環境の向上にも積極的に取り組んでいます。また、演劇を社会教育の場と位置づけ、舞台作品の作り手と観客を結びつける役割を担っています。舞台関係者だけでなく、客席にいる観客に対しても助言や援助を行うなど、支援の対象を広げています。これらの活動には、国際交流や子どもの健全育成といった視点も含まれています。

TOKYO NOVYI・ARTの大きな特徴は、上演形態がヨーロッパのレパートリー・シアターの形式に近いことです。レパートリー制度とは、特定の演目を一定期間継続して上演し、その後別の演目に切り替えるという方式を指します。設立以来、この原則に忠実に活動を続けている劇団は国内では珍しい存在です。その実践例として、2009年のゴールデンウィークに東京・両国のシアターΧで行われた公演が挙げられます。この時には、7日間にわたりレパートリー作品の中から異なる7演目を日替わりで連続上演するという画期的な試みを実施しました。

公演の舞台は、従来の劇場空間にとらわれません。寺院や教会、能楽堂、歴史的な洋館など、多様な場所で上演されてきました。これは、舞台芸術をより身近なものとし、新たな観客層を開拓するための取り組みでもあります。教育機関や企業などを対象とした貸切公演の実績も豊富です。

俳優の教育においては、ロシアの著名な演出家であるコンスタンチン・スタニスラフスキーが提唱した「スタニスラフスキー・システム」を採用しています。これは、俳優が役の内面に深く入り込み、舞台上で真のインスピレーションを得るための体系的な訓練法です。劇団ではこのシステムに基づき、俳優の継続的な鍛錬を行っています。また、このメソッドの内容を基にした俳優向けのワークショップも、年に数回開催しており、外部の俳優にも学びの機会を提供しています。

主要なレパートリー作品には、アントン・チェーホフの『三人姉妹』、『ワーニャ伯父さん』、『かもめ』、『桜の園』、『イワーノフ』といった代表作が含まれます。その他にも、マクシム・ゴーリキーの『どん底で』、近松門左衛門の『曽根崎心中』、ウィリアム・シェークスピアの『ハムレット』、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』など、ロシア古典だけでなく、国内外の幅広いジャンルの戯曲を上演しています。最近では日本の作品を含む新作にも積極的に挑戦する姿勢を見せています。

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