東京プロレス

東京プロレス：短命に終わった、波乱のインディー団体史

1966年、日本のプロレス界に突如として現れ、そしてわずか1年足らずで消滅した「東京プロレス」。その短い歴史は、プロレス史上に数々のドラマを残しました。本稿では、その興亡の軌跡を詳細にたどります。

豊登の追放と新団体の旗揚げ

東京プロレスの創設者である豊登は、かつて日本プロレスの社長を務めていました。しかし、巨額の資金の私的流用が発覚し、日本プロレスから解雇される形で追放されてしまいます。巨額の負債を抱えながらも、豊登は新団体設立を決意。弟子分であるアントニオ猪木を引き抜くことを計画します。

太平洋上の略奪

当時、アメリカで武者修行中だった猪木。豊登はハワイに渡り、猪木を熱心に口説き落とします。日プロ幹部もハワイへ猪木を説得に向かいますが、豊登の熱意と、日プロでの待遇への不満を抱えていた猪木は、豊登への参加を決意。この一件は「太平洋上の略奪」と呼ばれ、プロレス界を震撼させました。

東京プロレスの旗揚げと苦戦

1966年10月、東京プロレスは蔵前国技館で旗揚げ戦を開催。猪木とジョニー・バレンタインの対戦は、多くの観客を集めました。しかし、華々しいスタートとは裏腹に、東京プロレスは経営難に苦しみます。有力なスポンサーやテレビ局との契約がなく、資金不足は深刻でした。選手の給与未払いなども発生し、選手たちの不満は募っていきました。

板橋事件

11月、東京プロレスは板橋区で興行を開催するも、観客の少なさやギャラ未払い問題により、試合開始前に興行を中止。激怒した観客によるリング破壊や放火といった暴動に発展。この「板橋事件」は、東京プロレスの社会的信用を失墜させる一因となりました。

豊登派と猪木派の決裂

経営悪化と豊登の横領は続き、選手たちの不満は頂点に達します。猪木は豊登との決別を決め、新たな会社を設立。東京プロレスは事実上、分裂状態となってしまいました。

国際プロレスとの提携と崩壊

猪木は国際プロレスとの業務提携を試みますが、豊登との告訴合戦が泥沼化し、提携は解消。東京プロレスは完全に崩壊しました。

崩壊後とその後

東京プロレスの崩壊後、猪木は日本プロレスに復帰。一方、豊登は国際プロレスで活動した後、プロレス界から姿を消しました。東京プロレスは短命に終わりましたが、プロレス史において重要な位置を占める団体として、その歴史は語り継がれています。その功罪を含め、現在では「日本最初のインディー団体」と評価する声もあります。

所属選手

東京プロレスには、豊登、アントニオ猪木、木村政雄、斎藤昌典、そして多くのレスラーが所属していました。彼らが築き上げた、短いながらも激動の団体史は、日本のプロレス界に大きな影響を与えました。

関連書籍

東京プロレスに関する書籍も多数出版されており、その歴史を様々な角度から知ることができます。これらの書籍を通して、東京プロレスの知られざる真実を紐解いてみてはいかがでしょうか。

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