東京大学文学部不正入試事件

東京大学文学部不正入試事件

東京大学文学部不正入試事件は、1948年に東京大学文学部で行われた入学試験において、事務職員による不正行為が発覚した事件です。

概要

この事件では、東京大学文学部の入試採点を行う事務職員が、受験生の親から金品を受け取る代わりに、答案を不正に加点するという行為が行われました。具体的には、50点以上もの大幅な加点が行われていたケースもありました。

不正の内容

当時の東京大学文学部では、入試の採点を事務職員が行っていました。この採点担当の事務職員が、受験生の親から金品を受け取り、その見返りとして受験生の答案に不正な加点を行っていました。この不正行為に関与した受験生は3人であり、そのうち1人は本来不合格であったにもかかわらず、不正な加点によって合格となっていました。このため、この受験生は後に合格を取り消されることになりました。残りの2人については、不正な加点がなくても合格点に達していたため、合格取り消しとはなりませんでしたが、そのうち1人は自主的に退学しました。

不正な便宜を受けた受験生のうち1人は、アルバイトとして文学部長の秘書を務めており、他の2人は事務職員の知人からの依頼によるものでした。

不正の発覚

この事件の発覚については、複数の説が存在します。村上直之氏の説によると、この事件は事務長を含む4人の事務職員による共謀行為でした。関与したある職員が、他の職員への妬みから、学内の日本共産党員に不正入試の情報を提供し、その共産党員が学生自治会に働きかけたことで、自治会が真相究明に乗り出し、事件が発覚したとされています。

一方、岡本亮輔氏の説によれば、1948年11月に大学の地下倉庫に保管されていた3月入試の答案280人分が盗難される事件が発生しました。逮捕された事務職員が、「対立する派閥が不正を行っている証拠をつかむために盗んだ」と供述したことが、事件発覚のきっかけになったとされています。

事務職員の内部告発と答案窃盗の関連性については、現在のところ不明です。

村上直之氏によると、この不正事件が最初に報道されたのは1948年12月1日のことでした。事務長を含む4人の職員は、公文書変造兼詐欺などの容疑で東京地方検察庁に送検されましたが、最終的には不起訴処分となりました。

脚注

出典

関連項目

* 早稲田大学商学部入試問題漏洩事件 - 大学職員が問題を不正に漏洩させた事件

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