学生自治会

学生自治会とは

学生自治会は、大学、短期大学、高等専門学校などの高等教育機関において、学生によって自主的に組織・運営される団体です。学生生活の向上を目的とし、学内での様々な活動を企画・実行しています。児童会や生徒会と同様の役割を担いますが、高等教育機関という特性上、より学生の自主性を尊重した運営が行われています。

名称について

学生自治会には、様々な名称が存在します。「学生自治会」の他に、「学友会」や「学生会」といった名称が用いられることもあります。また、大学院生のみで構成される場合は「院生自治会」や「院生協議会」と称されることがあります。一般的には、単に「自治会」と呼ばれることもあります。

構成員

学生自治会は、原則として、特定の学校、キャンパス、学部などに所属する全ての学生が加入する全員加入制です。ただし、1969年の答申では、学生の任意加入制の自治会も認められています。自治会には、教員や事務職員が顧問として関わる場合もあります。

会費

学生自治会は、会員から入会金や会費を徴収することで運営資金を確保しています。会費は、年間数百円から数千円程度が一般的です。経済状況に応じて会費の免除や減額を認める自治会もあります。会費の徴収方法は、大学事務局が代行する場合と、自治会が独自に行う場合があります。国立[[大学]]では、1980年代までに代理徴収制度は廃止されています。会費を納めていない学生に対しては、会員としての権利が制限されることもあります。

組織

議決機関

学生大会: 学生自治会の最高議決機関で、全学生の意思を代表します。名称は「学生総会」の場合もあります。
代表制議会・学生投票: 学生大会を設けず、代表制議会や学生投票で意思決定を行う場合もあります。
その他: 代議員会、自治委員会、学生評議会、中央委員会などの議決機関を設置する自治会もあります。

執行機関・活動団体

執行委員会: 自治会全体の事務を担います。
大学祭実行委員会: 大学祭などの企画・実施を行います。
文化・体育・レクリエーション団体: 文化会、体育会、各部活動などが含まれ、自治会に包括される場合と、独立した団体として活動する場合があります。

その他

選挙管理委員会: 自治会役員の選挙を管理します。
会計監査委員会: 自治会の会計を監査します。

運営

学生自治会は、学生生活の充実や改善、課外活動の支援、学校行事への協力、ボランティア活動などを行っています。1969年の答申では、「大学当局と交渉する特別な地位をもっている」と指摘されています。

学生運動との関わり

過去には学生運動の影響で政治的な活動が活発化しましたが、近年では、相互扶助や環境改善などの活動が中心となっています。しかし、一部には学外の政治団体に影響を受けている自治会も存在します。大学側は、学生自治会が学校の目的に反する場合や、学生の自由を拘束する場合には、非公認などの措置を取ることもあります。

大学運営への参加

文部科学省は、学生の意見を大学運営に反映させることの重要性を提唱しています。具体的には、アンケート調査、学生代表との懇談会、学生代表の大学機関への参加などが提案されています。しかし、欧米のような大学運営への学生の積極的な参加は、日本の大学では慎重に検討すべきとされています。UNESCOは、学生の大学運営への参加を権利として認めています。

他の自治会との関係

キャンパスや学部ごとに自治会が存在する場合、学校全体をまとめる自治会と、それぞれの自治会に学生が所属する場合があります。1948年には、学生自治会の連合組織である全日本[[学生自治会総連合]]（全学連）が結成されましたが、現在は実質的な連合組織としては機能していません。

通信教育課程における特徴

通信教育課程では、通学課程とは別に自治会が組織されることがあります。全国各地に学生が散らばっているため、支部を設け、学習会や懇親会などの活動を行っています。

解散

役員不足や機能停止を理由に、自治会が解散することがあります。解散する際には、正規の手続きを踏む必要があります。

大学からの公認

大学は、学生自治会を公認する際、定足数や議事手続きなどを明確にする必要があります。また、自治会の活動が大学の目的や学生の自由を侵害する場合は、公認を取り消すことができます。

類似組織との違い

児童会・生徒会との違い

学生自治会は、小学校の児童会や中[[学校]]・高校の生徒会と異なり、学校側の関与が少なく、学生の自主性が尊重されています。また、会費納入や総会への参加が任意であるため、運営に関心のある学生によって運営される傾向があります。

学友会・学生会との違い

学友会や学生会は、学生自治会と似た組織ですが、その性質は様々です。名称が異なるだけで、学生自治会と同じ機能を持つ場合もあれば、異なる場合もあります。

歴史

日本では、戦前から学友会や校友会などの学生団体が存在していました。戦時中は、学校報国団に統合されましたが、終戦後に再編され、現在の学生自治会が組織されました。当初は、GHQの奨励によって自治会が設けられ、全日本[[学生自治会総連合]]（全学連）が結成され、学生運動が活発化しました。しかし、その後、学生運動は下火になり、学生自治会の活動は、課外活動が中心になっていきました。現在では、大学の公認を得て組織されるのが一般的です。

学生自治会と学友会

戦後、学生自治会と学友会が並立して存在した大学もありましたが、時代とともにどちらか一方が廃止されたり、統合されたりしました。近年では、学友会や学生会という名称で学生自治会が設けられることも多く、名称は多様化しています。

まとめ

学生自治会は、学生生活を豊かにし、学生の成長を促す重要な組織です。その運営や活動には、学生の主体的な参加が不可欠です。歴史的な変遷を経て、現代の学生自治会は、様々な課題を抱えながらも、学生のニーズに応じた活動を展開しています。

もう一度検索