東京市電気局乙1形電車

東京市電気局乙1形電車

概要

東京市電気局乙1形電車は、1941年（昭和16年）に誕生した路面電車専用の電動貨車です。この電車は、東京市電気局が製造した無蓋貨車であり、分類番号「乙」は「電動無蓋貨車」を示しています。具体的には、乙10形に搭載されていたジョンバット台車を基に、芝浦工場で2輌が製造されました。その後、台車はブリル21-E形に変更されています。

戦後の配備では、乙1が三田車庫に、乙2は荒川車庫に配置されました。しかし、乙1はあまり使用されることなく、1967年（昭和42年）に廃車となりました。一方、乙2は荒川線で保線作業を行うために利用されていたものの、1971年（昭和46年）3月20日に廃車されました。

主要諸元

• - 荷重: 5t
• - 積載容量: 15m³
• - 全長: 7,650mm
• - 全幅: 1,980mm
• - 全高: 3,453mm
• - 主電動機出力: 18.7kW

保存車両

現在、乙2号は東京都文京区にある神明都電車庫跡公園で6063号と共に保存されています。この保存時には車体が新造されましたが、時が経つにつれて劣化が進行しました。そのため、2021年（令和3年）から2023年（令和5年）の間に予定されている公園の再整備に合わせて、6063号と共に補修作業が行われることが決まっています。

余談

荒川車庫および荒川車両検修所では『乙3』という構内作業車が存在します。この車両は、6000形などと同様に黄色地に赤帯の塗装が施されており、車庫内のイベントの際にはその姿を見ることができます。

このように、東京市電気局乙1形電車は、戦後の日本の交通史において特異な存在であり、その歴史的価値は現在でも評価されています。保存活動により、この貴重な車両が後世に伝えられることが期待されます。

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