東京市電気局1200形電車

東京市電気局1200形電車と1500形電車

東京市電気局（後の東京都交通局）が運行していた1200形電車は、1936年から1942年の間に製造された路面電車です。この電車は小型でありながら、10メートル級の高床式ボギー車という特長を持ち、当初109両が製造されました。1200形は、旧1000形の台車や電装品を流用しているため、そのデザインや構造には、1000形からの影響が色濃く残っています。

1200形のデザインと特徴

1200形の外観は、1000形の1086 - 1130号車から雨樋を排除し、流線型の張り上げ屋根を採用していることが特徴です。これは、当時の流行を反映したデザインであり、このスタイルは後の6000形などにも受け継がれました。また、乗客用扉には二枚折戸が採用され、二次車の1221 - 1236号は後部扉を三枚折戸としていましたが、三次車以降は再び二枚折戸に戻されました。このため、三枚折戸の二次車は全車が戦災で失われました。

製造された109両のうち、45両は戦争によって消失しましたが、25両は復旧され再び運用に戻りました。この復旧車両は新たに1310 - 1334号に改番され、1948年には残存車両が1201 - 1264号に再編成されました。

1500形電車への改造

その後、1200形は1961年から1300形における車体延長工法を用いて、1500形電車へと改造されました。1200形は元々高床式でしたが、改造により低床式に変わり、台車もブリル台車から低床型のD-22形及びその後のD-24形に換装されました。新たに追加された尾灯や標識灯、改良された雨樋や拡幅された方向幕も相まって、全体的な性能や安全性が向上しました。

1500形は、改造された46両全てが錦糸堀車庫に配置され、共通運用されていました。乗車定員は大幅に増加しましたが、それに伴う重量の増加から出力不足の問題が生じました。特に勾配の急な橋を渡る際には立ち往生することがあったというエピソードもあります。

運行の終焉

1500形は1969年から1971年にかけて全車廃車され、東京市電気局の歴史の中で重要な役割を果たした車両でありながらも、その運行を終えることとなりました。東京の交通史において、1200形と1500形電車は、それぞれの時代における技術の進歩やデザインの変遷を映し出す重要な存在であると言えるでしょう。

参考文献

江本広一の「都電車両総覧」（1999年 大正出版、ISBN 4-8117-0631-5）は、これらの電車について詳しく知るための貴重な資料です。

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