東京市電気局3000形電車

東京市電気局3000形電車について

東京市電気局3000形電車は、1923年に登場した歴史的な路面電車で、後に東京都交通局に引き継がれました。本形式は、木造3000形と鋼製3000形の2つのタイプが製造され、特に木造車両は戦後の復興において重要な役割を果たしました。

木造3000形

木造3000形は、1923年から1924年にかけて610両が製造されました。この車両は、全体的に木材を使用した低床ボギー車でありながら、鉄骨を用いた柱と屋根組によって丈夫さを確保しています。屋根は二重構造で、丸屋根のデザインや採光用の小窓はありません。

この車両の大きな特徴は、従来のデッキを廃止し、乗降口を客室と一体化したことです。これにより、床の高さを大幅に下げて1段のステップで乗降できるようになりました。この設計の影響で、低床車と高床車の区別が明確になりました。3000形は緑色の塗装を施され、「青電」として親しまれました。

初めの100両は、関東大震災の影響で一部が焼失しましたが、その後急遽生産が進み、510両が製造されました。これにより、震災後の復興活動に欠かせない存在となり、東京市内のほぼ全線区で運行されました。特に3134号は特殊な改造を受けた車両の一つとして注目されています。

しかし、戦時中の事故や火災、さらには太平洋戦争による影響で多くの車両が失われ、1944年には42両が消失しました。終戦後も改造が進められ、最終的には鋼体化が進められることになります。

鋼製3000形

1949年から1953年にかけて製造された鋼製3000形は、木造3000形を鋼体化したもので、242両が製造されました。これらの車両は、6000形に似たデザインですが、製造所や年によって異なる特徴が見られます。初年度には213両が製造され、続いて新造や旧型車を改造する形で新しい車両が増備されました。

鋼製3000形は、都電の象徴ともいえる存在であり、4000形・6000形と並ぶ大所帯の車両として活躍しました。しかし、1967年から路線縮小が始まり、順次廃車となり、1972年には全車が形式消滅に至りました。

保存と譲渡

一部の3000形は保存されましたが、3103号は板橋区の交通公園で一時期保存されていたものの、後に撤去されています。長崎電気軌道には、1972年に5両（3145・3215・3240 - 3242）が譲渡され、同社の800形として運用されましたが、長崎での改造計画は実現しなかったものの、1981年には更新工事が施されました。

しかし、1982年の大水害により、運用中だった801、802号共に廃車となり、未入籍の3両も解体される運命に。長崎市内のレストランには一部の部品が保存されていましたが、2017年に閉店し、保存されていたものも失われました。

作品への登場

東京市電気局3000形電車は、絵本や映画にも登場しました。特に『ハチ公物語』や『帝都大戦』では、制作のために復元された車両が使用されています。このように、3000形はただの交通手段にとどまらず、文化の一部としても大きな影響を与えてきました。

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