東京市電気局400形電車

東京市電気局400形電車について

東京市電気局400形電車は、東京市電（現在の都電）の一形態であり、東京市電気局が所有していた歴史的な路面電車です。1924年に製造され、関東大震災での被害を受けた車両の補充として登場しました。特徴的なオープンデッキとダブルルーフを持ち、木造車ではありますが、構造は鋼製であるため、耐久性にも考慮されています。初めての製造時には在来車の混在のため、400番台という車両番号が一時使用できなかった経緯もあります。

この形態は、東京市電の中でも最後に製造された旅客用の2軸単車として知られています。当初は10400番台の名前が付けられましたが、さらなる番号整理により本来の400番台に戻されました。また、台車にはブリル21Eが採用され、2台の主電動機はそれぞれ18.6kWの出力を持っていました。制御は直接制御にて行われ、集電装置は4台のトロリーポールを装備していましたが、戦後にはシングルポールへの改造が進みました。

運用状況

小型の車両であったため、運用されていたのは主に輸送量の少ない支線系統でした。特に注目すべきは、1940年代初頭における玉川電気鉄道との連携で、分断された路線の運行に400形が活用されたことです。具体的には、東京急行電鉄の前身となる玉川電気鉄道が分断された際、東京市電から400形が借用され、のちに東急の社章が使用されるようになりました。こうした連携により、効率的な交通が実現し、多くの利用者に支持されました。

廃車と改造

戦後、製造された小型の半鋼製ボギー車たちが登場するにつれ、400形電車たちは徐々にその運用を終えていきました。特に最後まで残っていた400形の中でも、26系統に使用されていた4両が廃止されるまで使用されました。この車両は極限の孤立区間で運行され、特異な運用形態を持っていましたが、1952年にはトロリーバスへの転換により運行が終了し、残っていた車両も廃車となりました。

改造された車両としては、有蓋電動貨車への転用が行われたものがあります。甲1形は1944年に設計された10両が戦時体制の中で貨物向けに改造され、戦後は築地市場などで使用されました。また、1947年には甲400形として31両が改造され、貨物輸送に使用されたものの、1953年には廃止となりました。

譲渡と後の影響

さらに、400形電車は仙台市交通局や鹿児島市交通局などへの譲渡も行われ、各地で形貌が大きく変わりました。これにより、当初の400形の特徴は失われ、他の規格に適した形態へ改造されていきました。

文化的影響

この400形電車は、子供向けの読み物『ふたごのでんしゃ』でも特徴的に描かれており、また実在する廃車体が図書館として活用されたことからも、文化的な影響を及ぼしています。400形のスタイルは他の形式のと比べても非常に象徴的で、その姿は多くの話題に取り上げられています。こうした点からも、東京市電気局400形電車は単なる交通手段としてだけでなく、地域の歴史や文化を形成する一部としての役割も果たしてきました。

このように、東京市電気局400形電車は単なる路面電車の一形式ではなく、地域の誇りや歴史を象徴する重要な存在といえるでしょう。

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