東京文理科大学 (旧制)

旧制東京文理科大学について

旧制東京文理科大学（きゅうせいとうきょうぶんりかだいがく）は、1929年に東京小石川区に設立された官立の旧制大学です。本大学は、当時の教育界で重要な役割を果たし、教育と学術研究の両立を目指しました。略称は「東京文理大」です。

設立の背景

文理大の設立は、1919年頃から始まった東京高等師範学校の大学化運動にさかのぼります。1923年には、専攻科を大学に改組する計画が進みました。その後、関東大震災による延期を経て、1929年に正式に設立されました。この時期、東京府下の教育機関の中で、大学としての運営方針が議論され、最終的には研究重視の官立単科大学としての設置が決定されました。

当初、教育学科、哲学科、文学科、数学科など、9学科17専攻が設置され、文理学部が構成されました。設立後も東京高等師範学校は附属機関として存続し、教育の質向上に寄与しました。

発展と課題

設立当初は、教育と研究の調和が期待されていましたが、次第に財政的な課題が浮上しました。世界的な大恐慌の影響を受け、文部省から廃止の議論が持ち上がることがありました。また、教育を主に担う教員と研究活動を重視する教員の間での対立が生じるなど、内部での緊張も高まりました。1930年代には附属研究施設が整備され、研究活動は本格化しましたが、教員養成を中心とする高師との関係は難航しました。

戦後の変革

1948年には、「文理科大学宣言」が発表され、大学再建に向けた教育理念が示されました。この中で、教養人を育成することが強調され、戦前から続いた高師との対立が再燃しました。学制改革を経て、1950年に「東京教育大学」が設立されると、旧制文理大と高師が合同し、教育大学としての道を歩むことになりました。ただし、新しい大学の運営は文理大の教授陣によって行われ、内部の対立は解消されないままとなりました。

廃止とその後

その後、1962年には名実ともに旧制東京文理科大学は廃止されましたが、制度上は名残として存在し続けました。閉学は1953年であり、その後も学位授与機関としての地位は保たれていました。文理大の設立と運営に携わった教授陣は、東京教育大学の発展にも寄与し続けました。

校歌と歴史

大学の校歌は、著名な詩人である北原白秋が作詞し、作曲は山田耕作が手掛けました。校歌は学生たちの思い出として、今も多くの人々に親しまれています。

これからも、旧制東京文理科大学の歴史を学び、教育と研究が交差する場としての意義を再確認することが重要です。文理大は教育界において重要な役割を果たした機関として、その歩みを知ることが後世に伝えられることを願っています。

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