東京楽天地

株式会社東京楽天地：歴史と事業の多角化

株式会社東京楽天地（TOKYO RAKUTENCHI CO.,LTD.）は、東京都墨田区江東橋に本社を置く、阪急阪神東宝グループに属する企業です。創立者は小林一三で、墨田区錦糸町と台東区浅草を中心に、不動産業や映画興行などを展開しています。

創立と江東楽天地の開業

1932年、小林一三によって株式会社東京宝塚劇場（現・東宝株式会社）が設立され、1934年には東京宝塚劇場が開館しました。小林は全国の主要都市に劇場建設を進める中で、東京では松竹の牙城である浅草への進出を目指しましたが、根津嘉一郎の懇願により断念。代わりに錦糸堀（現在の錦糸町）を娯楽街とする計画を立てました。

1937年2月27日、小林一三によって株式会社江東楽天地が創設されました。当初の資本金は100万円。汽車製造合資会社東京支店の跡地に、総合レジャー施設「江東楽天地」を建設。同年12月には、冷暖房完備の1500人収容の大劇場である江東劇場と本所映画館が開館しました。

1938年には遊園地、江東花月劇場、大食堂、仲見世などが開業し、1940年には江東観世音が建立され、当初の構想が実現しました。しかし、第二次世界大戦の影響で統制が強まり、1945年の東京大空襲では江東楽天地も大きな被害を受けました。

戦後の復興と浅草への進出

1945年6月には本所映画館が営業を再開し、1946年1月には江東劇場も開館しました。1949年には東京証券取引所に株式を上場。1950年には場外馬券売場（現・ウインズ錦糸町）を開設し、同年12月には錦糸町映画劇場（キンゲキ）が開館しました。1951年には小林一三の依頼で浅草への進出を決定し、株式会社浅草楽天地を設立。1952年には浅草宝塚劇場と浅草宝塚地下劇場が開館し、東宝系劇場が初めて浅草に進出しました。

事業の多角化

1956年以降、映画以外の娯楽施設を充実させるなど事業の多角化に着手。楽天地天然温泉会館の開業、錦糸興業によるビルの管理、京葉興業による飲食・スポーツ施設の運営など、多岐にわたる事業を展開しました。1961年には株式会社東京楽天地に社名を変更し、1962年には国鉄錦糸町駅に駅ビル「きんし町」を開業しました。

1963年には本所映画館と江東劇場が入るビルが完成。1964年には楽天地ボーリングが開業し、浅草楽天地には浅草東宝劇場と浅草スカラ座が開館しました。1965年以降は映画興行と不動産経営に注力し、その他の事業は子会社に移管していきました。

楽天地ビルの建設と近年の動向

1983年、楽天地ビルの第1期工事が完了し、遊技場や飲食店、映画館などが入居。1986年には錦糸町西武（現・錦糸町PARCO）を核テナントとして全館オープンしました。2006年にはTOHOシネマズ錦糸町（現・TOHOシネマズ錦糸町オリナス）が開館し、楽天地シネマズ錦糸町としてリニューアル。2015年には東京楽天地浅草ビルが開業し、リッチモンドホテルプレミア浅草や商業施設が入居しました。

2024年4月2日、東宝による株式公開買付け（TOB）成立により東京証券取引所プライム市場への上場を廃止しました。

現在の主な施設

楽天地ビル（錦糸町PARCO）
TOHOシネマズ錦糸町楽天地
TOHOシネマズ錦糸町オリナス
東京楽天地浅草ビル
* 楽天地天然温泉法典の湯

東京楽天地は、映画興行を中心に、不動産賃貸、レジャー施設運営など、多角的な事業を展開し、東京の娯楽文化を支え続けています。

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