東京海上日動ビルディング

東京海上日動ビルディング

東京海上日動ビルディングは、東京都千代田区丸の内にある重要な建築物です。この建物は本館と新館から成り立ち、歴史的には様々な変遷を経てきました。本稿では、東京海上日動ビルディングの成り立ちや旧館、新館の歴史、さらにその後の建て替えに関する詳細を紹介します。

沿革

東京海上ビルディングは、1895年に設立された東京海上火災保険の本店が起源です。当初、本店は茅場町から麹町区に移転し、その後業務の拡大に伴い新たな社屋の建設が計画されました。1914年2月28日に工事が始まり、1918年9月に竣工した「東京海上ビルディング」は、日本で初めて「ビルディング」という名称を使用した建物とされています。このビルは、隣接地に新館が建設されることになりました。新館の工事は1926年から1930年にかけて行われ、旧館との名称の使い分けが始まりました。

第二次世界大戦の影響で、1945年には両館が占領軍に接収され、旧館は海上ホテルとして使用されました。この時期の変化は、東京海上にとっても大きな転機でした。戦後、二つの館は接収が解除され、再び企業の拠点として機能を持ちましたが、老朽化が進んだ旧館は1966年に解体工事に入ります。そして、1974年には新たな本館が竣工し、続けて1986年に新館も完成しました。

建築概要

旧館は地上7階建ての鉄骨煉瓦構造で、面積は約17,100平方メートル。新館は地下1階、地上3階建ての鉄筋コンクリート構造で延べ床面積は約1,800平方メートルを持ちました。設計は曽禰中條建築事務所が担当し、構造設計には内田祥三が関わっています。

東京海上ビルディング別館

1945年、旧館と新館が接収されるところから、東京海上は大森東海ビルディングへ本店を移転。その後、そのビルの運営を引き継ぎ、様々な業務を展開しましたが、大森の立地は交通面で課題となりました。これを受けて、新しい社屋を千代田区大手町に建設する計画が持ち上がり、1949年に新たなビルが竣工しました。

美観・高さ制限論争

東京海上日動ビルディングの新たな建設にあたっては、美観に関する大きな議論が生じました。当時の丸の内は、戦前の規制により一定の高さ制限が設けられていたため、新しい高層ビルの計画には賛否が分かれました。最終的には、東京海上は計画を見直し、従来の30階建てから25階建てに修正することになります。この変遷を経て、1974年に本館は完成します。

建て替えと新社屋の計画

2022年から、両館の老朽化を受けて解体工事が開始され、新しい社屋の建設計画が進行中です。新社屋は、環境に配慮した木造ハイブリッド構造による設計が行われており、2028年の竣工を目指しています。設計は著名な建築家レンゾ・ピアノが担当し、地域に新たな象徴となることが期待されています。

結論

東京海上日動ビルディングは、単なる企業の拠点ではなく、東京の歴史の一部として多くの変遷を経てきました。その背後には、戦争や社会環境の変化が影響を及ぼし、今日の姿になっています。未来が見据えた新しい建物も、また新たな歴史を刻むことでしょう。

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