東京第一長老教会

東京第一長老教会（とうきょうだいいちちょうろうきょうかい）

東京第一長老教会は、明治時代初期に日本のプロテスタント教会形成において重要な役割を担った、築地を拠点とする長老派の教会です。

設立経緯

教会の起源は、1874年（明治7年）に遡ります。当時、築地にあった築地大学校で学んでいた学生たちが、アメリカ合衆国長老教会から派遣されていた宣教師C・カラゾルス（C. Carrothers）よりキリスト教の教えを受け、洗礼を受けるに至りました。その中心人物となったのは、田村直臣と原胤昭でした。

洗礼を受けた田村と原は、同じく初期のキリスト者であり、既に東京基督公会に属していた安川亨と共に、新たな教会を設立することを計画しました。こうして、1874年10月18日、東京第一長老教会が誕生しました。

築地バンド

この教会は、C・カラゾルスから洗礼を受け、彼の指導を仰ぐ人々の集まりの中心となりました。これらの人々は、後に「築地バンド」として知られるようになります。この「築地バンド」には、東京第一長老教会の設立者たちが含まれており、初期の日本のプロテスタント教会における有力なグループの一つを形成しました。

初期体制と参加者

教会設立当初の指導体制は、宣教師であるカラゾルスが仮牧師を務め、日本人信徒のリーダー的存在であった安川亨が長老に就任する形が取られました。その後、教勢が進むにつれて、後に海軍軍人として活躍する瓜生外吉や、戸田三郎といった人物も教会に参加し、活動を共にしました。

指導者の離脱と教会の分裂

しかし、教会設立からわずか2年後の1876年（明治9年）、指導者であるC・カラゾルスに大きな変化が訪れます。彼は所属していたミッション内で発生した問題が原因とされる理由により、宣教師の職を辞任し、ミッションからも離れることになりました。その後、カラゾルスは宣教師としての活動ではなく、文部省のお雇い外国人として教育分野で働く道を選びました。

指導者であるカラゾルスの離脱は、東京第一長老教会に深刻な影響を与えました。求心力を失った教会は、これを機に分裂を余儀なくされます。一つの流れは芝露月教会（後に日本基督教団芝教会となる）を形成し、もう一方の流れは、カラゾルスを慕う人々を中心とした日本独立長老教会の銀座教会（後に日本基督教団巣鴨教会となる）を設立しました。

分裂後の状況

分裂して誕生した日本独立長老教会の銀座教会は、カラゾルスの影響を色濃く受け継ぎました。この銀座教会では、東京第一長老教会の設立者の一人である田村直臣が、後に牧師として教会の指導に当たりました。

東京第一長老教会は、短命ではありましたが、築地大学校を拠点とする初期キリスト者グループ「築地バンド」の中心として、また、複数の有力な教会の源流となるなど、日本のプロテテスタント史において注目すべき存在と言えます。

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