東京都保健医療局

東京都保健医療局（とうきょうとほけんいりょうきょく）は、2023年（令和5年）7月1日に新たな体制で発足した、東京都の行政を担う知事部局の一つです。この組織は、それまで東京都の福祉、保健、医療分野を広く所掌していた「東京都福祉保健局」を再編し、福祉分野を担う「福祉局」と、保健医療分野に特化した本局とに分割・設置されました。

業務内容

保健医療局は、都民の生命と健康を守り、安心して暮らせる社会を実現するための多岐にわたる業務を担っています。主な役割として、地域の実情に応じた医療提供体制の整備推進や、質の高い医療の確保、救急医療、災害時医療体制、へき地医療、周産期医療、小児救急医療体制などの強化があります。

また、都民一人ひとりの健康寿命延伸に向けた健康増進施策の企画・実施、難病対策、被爆者援護、臓器移植・献血対策、医療費助成なども重要な業務です。加えて、国民健康保険制度の適正かつ円滑な運営に関する事務や、区市町村・国保団体等への指導も所掌しています。

さらに、都民の健康に関わる様々な健康危機への対応において、中核的な役割を果たします。具体的には、感染症の予防・拡大防止、食品や医薬品の安全確保対策、薬物乱用防止対策、環境に由来する健康影響への対策などが含まれます。近年では、特に2020年以降の新型コロナウイルス感染症のような新たな健康危機への対応において、体制強化と実務を担ってきました。

沿革

東京都における保健医療行政の歴史は、戦後の1946年に規定された「衛生局」に遡ります。これは、1943年に設置された福祉分野を担う「民政局」（後の福祉局）と並行して発展しました。組織再編を経て、衛生局は2002年に「健康局」と改称されます。そして、2004年には都政の組織改革の一環として、福祉局と健康局が統合され、広範な業務を所掌する「福祉保健局」が誕生しました。

福祉保健局は、都の知事部局の中で最大規模へと拡大を続け、廃止直前には12の部と約4750人の職員を擁する巨大組織となりました。しかし、その組織規模ゆえの課題や、現代の多様な健康課題・福祉課題への対応力向上が求められるようになります。特に、財政援助団体等に対する補助金の過大交付が複数年にわたり監査で指摘されるなど、組織運営に関する問題も表面化していました。また、特定の事業を巡る議論も発生しました。

こうした背景の中、組織の機動性向上と専門性の強化を目指し、2023年1月に東京都知事から福祉保健局の分割方針が発表され、同年7月1日をもって正式に福祉局と保健医療局に再編されました。この再編に伴い、合計の職員数は微増しています。

組織体制

東京都保健医療局は、その広範な業務を遂行するため、複数の部によって構成されています。局の総務や人事、予算、広報などを担う総務部、政策の企画・調整を行う企画部があります。専門部としては、医療提供体制や医療施設、医療従事者に関する政策を扱う医療政策部、都民の健康増進、難病対策、国民健康保険、精神保健福祉などを所掌する保健政策部があります。

さらに、食品・医薬品の安全、環境保健、生活衛生、動物愛護、水道施設などを管轄する健康安全部、そして近年の感染症流行に対応するために2020年に設置された感染症対策部が重要な役割を担っています。都立病院や公立病院の運営を支援する都立病院支援部も設置されています。

関係団体等

保健医療局は、その事業の実施にあたり、公益財団法人東京都福祉保健財団や公益財団法人東京都医学総合研究所といった政策連携団体、また公益財団法人東京都生活衛生営業指導センターといった報告団体と連携しています。局には「プランちゃん」というマスコットキャラクターがいます。

東京都保健医療局は、東京都の保健医療政策の中核を担う組織として、都民の健康と安全を守るため、日夜その業務にあたっています。前身組織からの変遷を経て、現代の多様な健康課題や危機に対応するための体制を強化しています。

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