東京都立広尾病院

東京都立広尾病院の概要と特色

東京都立広尾病院は、東京都渋谷区恵比寿に位置する病院で、地方独立行政法人東京都立病院機構によって運営されています。1889年に東京市避病院として開設されたこの病院は、1927年に東京市立の病院として正式に設立されました。また、歴史的な背景では、広尾の原と呼ばれた地域が江戸時代から利用されており、海抜9メートルという特徴的な地勢を持つ場所です。

最近では、2023年にこどもの城跡地に移転し、新たな首都災害医療センターとしての運営が計画されていましたが、最終的には同敷地内での建て替えに変更されました。2022年に、都立病院と公社病院が地方独立行政法人に再編されたことにより、広尾病院の運営が同法人に委譲されています。

基幹災害医療センターとしての役割

広尾病院は、東京都内では災害医療センターとして重要な役割を果たしています。東京都の基幹災害医療センターとして、国立病院機構に位置付けられ、平常時には23区および多摩地域の中心的役割を担います。災害が発生した場合には、相互に補完し合いながら医療を提供する体制が整っています。

医療チームは、常時2派の医療救護班がオンコール待機しており、実際の災害時には迅速な対応が求められています。特筆すべきは、2011年の東日本大震災時に、医療チームを宮城県へ派遣した実績です。ただし、国立災害医療センターと比較して、物資の備蓄や医師・看護師の充足においては改善が必要な点もあります。

島嶼医療への注力

広尾病院は、島嶼医療の拠点としても重要な位置を占めています。病院の屋上にはヘリポートが設置されており、伊豆諸島からの緊急搬送を受け入れています。島内の医療機関で対応が困難な重篤な患者には、ヘリコプターで直接搬送することで迅速な対応が可能です。このヘリポートの運用により、他の交通手段よりも20〜30分の時間短縮が見込まれています。

また、医師が救急車で病院に向かうのでは間に合わないケースでは、ヘリコプターが直接医師を迎えに来る「ピックアップ」サービスも展開しています。これは、特に緊急性が高い症例に対応するための工夫です。さらに、遠隔地の医療機関とリアルタイムで画像データを共有し、診療の支援を行うシステムを導入しています。

診療科目と医療体制

多様な診療科目が存在し、心疾患治療や脳血管疾患においても特に力を入れています。都立病院のなかでも「東京ER・広尾」として365日・24時間体制で外来患者の受け入れを行っています。

交通アクセスも良好で、東京メトロ日比谷線の広尾駅から徒歩7分の距離にあります。また、主要なJR駅からもアクセス可能なバス路線が整備されています。

終わりに

広尾病院は、災害医療や島嶼医療において評価の高い医療機関でありながら、患者に対する安全性の確保や医療の質向上についても継続的に取り組んでいます。今後も地域の医療拠点として、さらなる発展が期待されます。

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