東京都立朝鮮人学校

東京都立朝鮮人学校の歩みと教育の歴史

東京都立朝鮮人学校（とうきょうとりつちょうせんじんがっこう）は、東京都において設立された外国人学校であり、特に在日朝鮮人の子弟を対象としていました。この学校は、1949年に東京都教育委員会によって設立され、当時閉鎖されていた朝鮮学校を引き継ぐ形で運営を開始しました。

設立の背景

1945年の終戦後、在日朝鮮人の教育を巡る状況は複雑でした。朝鮮学校閉鎖令の発布によって、在日本朝鮮人連盟が設立した複数の朝鮮学校は閉鎖され、教育機関の必要性が高まった結果、東京都立朝鮮人学校が設置されました。東京都教育委員会は、1949年11月20日に同校設置規則を制定し、当時東京都内に存在した14校の朝鮮学校が都立化されることとなったのです。

東京都立朝鮮人学校の運営は、1951年12月20日から始まりましたが、教育現場はさまざまな圧力や規制も伴っていました。特に、朝鮮戦争の影響を受け、教育内容や方針について厳しい統制が強いられることが多く、在日朝鮮人の子弟にとって特有の課題となりました。

教育方針と四原則

東京都教育委員会は、同校における教育の方針として「四原則」を打ち出しました。これにより、教育用語は日本語とし、民族教育科目は課外活動として扱うことが求められました。さらに、朝鮮語は外国語として認識されることとなり、授業内容に大きな制約が加えられました。施設については現状維持とし、教員資格を持たない朝鮮人教員は講師として扱われることが定められました。

この教育方針は、在日朝鮮人の民族教育を制限するものであり、学校側にさまざまな難題をもたらしました。特に文化的アイデンティティの保持と日本社会への適応という二つの側面から、在日朝鮮人の子弟は教育を受けることとなります。

変遷と移管

1953年12月、東京都教育委員会は「イデオロギー教育」の禁止や新たな規則を通達し、学校はますます厳しい状況に置かれることとなりました。1954年には私立学校に移管する方針が示され、在日朝鮮人による学校法人「東京朝鮮学園」の設立が行われました。そして1955年4月1日には、この学園が東京都立朝鮮人学校の資産を引き継ぎ、新たな運営形態へと移行します。

結論

東京都立朝鮮人学校は、その設立背景や教育方針から、在日朝鮮人子弟の教育において特異な位置を占めていました。学校は時代の変遷を経る中で、在日コミュニティにおける教育の役割や意義を果たすため尽力していましたが、さまざまな外的要因によって常に厳しい制約にさらされていました。教育政策の変化や社会的背景を背景に、東京都立朝鮮人学校の歩みは、在日朝鮮人の歴史の一部として重要な意味を持っています。

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