東京電機大学短期大学

東京電機大学短期大学

東京電機大学短期大学は、東京都千代田区神田錦町にキャンパスを構えていた日本の私立短期大学です。設置主体は学校法人東京電機大学でした。1950年に創設され、日本国内で最初に設置が認可された短期大学149校のうちの一校として、その歴史をスタートさせました。開学以来、学科は電気科第二部のみという単科体制を維持し、主に勤労に励む人々が夜間に学べる教育機会を提供しました。しかし、社会情勢の変化などを受けて2000年度の入学生を最後に学生募集を停止。在学生が課程を修了した後、2005年7月29日をもって正式に廃止され、半世紀以上にわたる歴史に幕を下ろしました。

教育内容と学風

本短期大学は、勤労者が働きながら高度な専門知識を習得できるよう、昼間ではなく夜間部のみを設置していました。授業は平日が17時10分から20時40分、土曜日も15時45分から19時まで開講されており、多忙な社会人でも学びやすい時間割が組まれていました。教育は電気分野に特化しており、電気科第二部に所属する学生は、2年次から「電気工学」または「電子・情報工学」のいずれかのコースを選択し、専門性を深めました。科目選択の自由度が高く、学生の興味や必要に応じて多様な知識を習得できるカリキュラムでした。この夜間部設置という形態は、「勤労の傍ら学業を志す人々に大学教育を開放する」という設立理念の具現化であり、本短期大学の大きな特色でした。入学試験の方法は時代によって変遷があり、開学当初は3科目でしたが、一時期は数学が必須となり、募集停止が近づいた末期には書類選考のみに変更されました。建学の精神は、母体である東京電機大学の理念と共通していました。

沿革

短期大学設立に向けた具体的な動きは、1949年10月に文部省へ設置認可申請を行ったことから始まります。申請された学科は電気工学科で、入学定員は100名でした。翌1950年3月14日に文部省より正式に設置が認可され、同年4月1日には「東京電機大学短期大学部」として開学を迎えます。開学当初の学科は電気科第二部で、定員は100名でした。開学後、学生数は順調に増加し、1954年5月1日時点では定員を大幅に上回る278名が在籍していました。1956年2月1日には名称を現在の「東京電機大学短期大学」に改称しました。その後も学生数は定員超過の状態が続き、1980年代半ばには350名を超える学生が学ぶなど盛況でしたが、1990年代後半には減少傾向が見られ、1999年には定員をわずかに上回る程度となりました。そして2000年4月1日、この年度の入学生をもって新規の学生募集を停止。在籍者の卒業を待って、2005年7月29日に正式な廃止手続きが完了しました。

組織と取得可能な資格

東京電機大学短期大学の組織は、電気科第二部のみというシンプルな構成でした。入学定員は一貫して100名でした。正規の課程以外に、専攻科や別科は設けられていませんでした。教育カリキュラムは、電気に関する専門知識・技術の習得に加え、実社会で役立つ資格取得にも繋がるよう配慮されていました。具体的には、電気主任技術者の基礎資格を得るための課程や、第二種電気工事士の筆記試験が免除されるカリキュラムが組まれていました。

学生生活と施設

学生たちは、夜間の授業後や週末などを利用して、クラブ活動にも参加していました。活動していた主なクラブには、軽スポーツ、写真、アマチュア無線、軽音楽などがありました。学園祭は、同じキャンパスを共有する東京電機大学の学部生たちと合同で開催され、大学全体のイベントとして賑わいました。キャンパス施設は、東京電機大学の神田キャンパス内に設置されており、大学の施設を学部と共同で使用していました。

卒業後の進路

卒業生の多くは、働きながら学んでいた社会人か、卒業後さらに高度な学問を志す大学編入希望者でした。このため、卒業と同時に新たに就職活動を行う学生は比較的少数でしたが、就職した卒業生のうち約2割は、製造業、建設業、情報関連といった電気分野と深く関わる業界に進んでいました。また、卒業生の半数近くが大学への編入学を選択しており、特に設置母体である東京電機大学への編入が多かったのが特徴です。1980年頃には東京電機大学の電気関連学科への編入は各科5名までという厳しい制限がありましたが、その後、編入条件は緩和されたようです。

結び

東京電機大学短期大学は、勤労者への高度専門教育の提供という独自の役割を担い、多くの卒業生を社会に送り出してきました。特に電気技術分野における人材育成において、その存在は重要でした。時代の変化と共にその役割を終え廃止されましたが、日本の短期大学教育、特に社会人教育の歴史の一端を担った存在と言えるでしょう。

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