東京高等工芸学校

東京高等工芸学校の歴史

東京高等工芸学校は、1921年に設立された日本の旧制専門学校であり、千葉大学工学部の前身です。この学校は、第一次世界大戦後の高等教育機関の増強政策に基づいて設立され、官立の高等工業学校の一つとして位置づけられました。特に、工業と美術の融合分野である産業デザインの専門教育を受けるための機関として独自の役割を果たしました。

設立背景

東京高等工芸学校の設立の背景には、1914年に廃止された東京高等工業学校工業図案科の継承があります。工業図案科長であった松岡寿は、工芸高等教育機関の設置を強く主張し、文部省の高等工業学校拡充施策に合う形で学校の設立が実現しました。設立時には、工芸図案科、工芸彫刻部、金属工芸科、木材工芸科、印刷工芸科が設置され、教育活動が始まりました。

様々な学科の設置

学校の教育課程は、初めは3年間の本科制で構成され、大きく工芸を中心に多様な方向性がありました。特に工芸図案科や木材工芸科など、各分野に専門性を持ったカリキュラムが組まれ、学生たちが実践的な技術を学ぶことができるようになっていました。1924年には附属工芸実修学校も設立され、実技教育がさらに充実しました。

戦争中の変遷

第二次世界大戦中、東京高等工芸学校は東京工業専門学校と改称されましたが、空襲により校舎の大部分が焼失し、千葉県松戸市に移転することになります。戦後、学制改革が行われ、新しい形の千葉大学工芸学部（後の工学部）として再出発しました。このように、東京高等工芸学校は戦争を経て新しい教育機関に生まれ変わり、多くの優秀な技術者やデザイナーを輩出しました。

歴代校長と著名な出身者

設立当初の校長は松岡寿であり、以降、吉武栄之進、安田禄造、鈴木亰平と続きました。これらの校長はそれぞれ教育方針の策定や学校の発展に寄与してきました。また、東京高等工芸学校からは多くの著名な人物が輩出されています。彼らは各分野で活躍し、学校の名声を高める一因となりました。

現在の展望

東京高等工芸学校の校地は、設立当初は東京都芝区にありましたが、戦後の松戸への移転を経て、最終的には千葉大学の西千葉キャンパスに集約されました。この学校の伝統は、現在も千葉大学工学部を通して受け継がれています。さらに、旧芝浦校地には東京工業大学附属科学技術高等学校が存在し、昔の輝かしい歴史を感じさせます。

東京高等工芸学校は、ただの専門学校に留まらず、日本における工芸・技術教育の発展に多大な貢献をしてきた機関であり、その教育理念や教材は現代でも色あせることはありません。

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