東佳苗

東佳苗（ひがし かなえ）は、1989年4月19日に福岡県に生まれた、日本のクリエイティブシーンで多角的な活動を展開する人物です。彼女はデザイナー、アート・ディレクター、スタイリスト、そして映画監督という、複数の肩書きを持って活動しています。

彼女のキャリアの始まりは、福岡での学生時代にさかのぼります。高校では美術部に所属し、アートや造形表現に親しむ一方で、シンガーソングライターになることを夢見てバンド活動にも熱中していました。しかし、高校2年生の頃にファッションの世界に強い関心を抱くようになり、その道を専門的に学ぶことを決意します。まず大村美容ファッション専門学校でファッションの基礎や技術を学び、さらに専門性を深めるために文化服装学院のニットデザイン科に進学しました。ここで、彼女はニットに関する高度な知識と技術を修得し、これが後の彼女のキャリアの重要な礎となります。

専門学校での学びを経て、東佳苗は自身のクリエイティブ活動を本格的に始動させます。彼女は、特に文化服装学院で専門的に学んだニットに焦点を当て、2009年に自身のニット・ブランド「縷縷夢兎（るるむう）」を設立しました。このブランドでは、彼女独自の繊細で物語性のある世界観を反映させたニット作品を発表し、ファッション業界内外から注目を集めるようになります。

また、彼女はクリエイター間の交流や発表の場を積極的に創出しようと試みます。その一環として、2011年には合同展示会「白昼夢（はくちゅうむ）」を立ち上げました。この展示会は、様々な分野のアーティストやデザイナーが集まるプラットフォームとして機能し、互いに刺激し合い、新たな表現を生み出す場となりました。

デザイナーとしての活動を続ける中で、彼女はブランドをさらに発展させることを目指します。2018年には、これまでの「縷縷夢兎」を「rurumu:（るるむう）」としてリスタートさせることを発表しました。これは、ブランドのネクストフェーズへの移行であり、彼女の表現が常に進化し続けていることを示唆しています。

東佳苗の活動はファッションの領域に留まりません。彼女はアート・ディレクターやスタイリストとしても活動し、その独特の感性で様々なプロジェクトに貢献しています。そして近年は、映画監督としても才能を発揮しています。2015年には、彼女が監督を務めた短編映画『Heavy Shabby Girl』を発表し、映像の世界でもその独自の表現力を示しました。

さらに、2017年には音楽と映画の実験的な企画として注目される「MOOSIC LAB 2017」に招待作品として出品された映画『THE END OF ANTHEM（ジ・エンド・オブ・アンセム）』を監督しました。この作品は、彼女の映像作家としての評価を確固たるものとしました。そして、2019年春に公開予定のオムニバス映画『21世紀の女の子』の一編である『out of fashion』でも監督を務めるなど、映画制作においても継続的な活動を行っています。

デザイナー、アートディレクター、スタイリスト、そして映画監督という多様な肩書きを持つ東佳苗は、それぞれの分野で培った経験と感性を融合させ、独自のクリエイティブワークを展開しています。彼女の活動は、既成の枠にとらわれない自由な発想と表現に満ちており、今後のさらなる活躍が期待されるクリエイターです。

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