東北海軍

東北海軍の歴史とその特徴

東北海軍（とうほくかいぐん）は、1920年代中華民国時代に北東奉天軍によって設立された海軍であり、中国東北部において重要な役割を果たしました。海軍の設立は、河川や沿岸の防備の必要性から生じたものであり、その背景には地政学的な状況が影響しています。

設立の背景

1922年8月、第一次奉直戦争を受けて張作霖は航警処を設立し、沈鴻烈を処長に任命しました。この取り組みは、国防意識の高まりや地域の安定化を目指すものであり、海軍の重要性が認識された瞬間でした。また、1919年7月には黒龍江督軍鮑貴卿による江防艦隊の提案に基づき、北京政府海軍部は吉黒江防籌備所を設立。これが東北海軍の先駆けとなります。

近代化と艦艇の整備

1920年5月には吉黒江防司令部に改組され、砲艦「江亨」、「利川」、「利捷」、「利綏」などが艦隊に編入されました。王崇文少将が司令官に就任しますが、資金不足に直面し、張作霖は東三省自治政府の管理下に艦隊を置くことを認めます。これにより、艦隊の運営を持続可能にする手段が講じられました。

1923年1月には葫蘆島に海軍学校が設立され、人材育成に注力しました。この学校はのちに葫蘆島海軍学校と改称され、士官の育成が進められました。これにより、海軍の運営・指揮能力は向上し、戦略的な側面でも意義があったと評価されています。

戦争と艦隊の成長

第二次奉直戦争前及び戦争中には、日本から艦艇の購入が行われました。水雷艇「飛鵬」や巡洋艦「鎮海」の取得は、東北海軍の拡張に寄与しました。1925年には吉黒江防艦隊と海防艦隊が編成され、翌年には沈鴻烈が指揮を執る東北海軍司令部が設立されます。これによって、東北海軍の実効的な運営が築かれていったのです。

1926年11月には渤海艦隊の「海圻」を接収し、1927年には青島の施設も取り込んで東北海軍第一艦隊の基地としました。これにより、東北海軍による地域の制海権が強化されました。1929年には艦艇数が26隻、人員が1万人を超えるまでに成長し、東北海軍はその地位を確立しました。

衰退の要因

しかし、1929年10月の中ソ同江戦役では艦艇6隻が沈没し、大きな損害を受けました。さらに資金不足が続き、柳条湖事件以降は内部抗争が生じ、江防艦隊が満州国に編入されるなど、外的・内的要因が重なった結果、東北海軍は衰退の道をたどりました。

結論

東北海軍は短い間でしたが、中国東北部における海軍の重要性を証明しました。防衛体制の樹立や艦艇の運営など、多くの困難を乗り越えながらも、その後の歴史に多大な影響を与えました。

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