東宮職員令

東宮職員令（とうぐうしきいんりょう）

東宮職員令は、皇太子に関連する家政機関や職員の役割を定義した重要な法律であり、養老令の第4番目に位置します。この令は全11条から成り立っており、唐の「東宮王府職員令」に基づいていますが、日本においては皇太子の教育や管理を行うための具体的な職掌が規定されています。

概要

東宮職員令は、主に皇太子のための教育機関を整備し、さまざまな職員の構成や役割を明確にしています。これにより、皇太子の教導を行う傅（ふ）や学士、さらに春宮坊や被管の三監、六署の職員が定められています。

例えば、第一条では、東宮傅が1名設置され、その役割は道徳によって東宮を支えることが明記されています。東宮学士は2名が任命され、これらの職士が儒教の経典を引用しながら講義をすることが求められています。この際参考にされる経典は、『周易』、『尚書』、『周礼』、『儀礼』、『礼記』、『毛詩』、および『春秋左氏伝』など、古典的な儒教の書物です。

その次に続く条文では、「春宮坊条」や「舎人監条」、「主膳監条」、「主蔵監条」、さらには「主殿署条」、「主書署条」、「主漿署条」、「主工署条」、「主兵署条」、「主馬署条」と続き、それぞれの職位や職掌の詳細が明記されています。これにより、皇太子に必要な支援体制が整えられています。

教育と訓練の重要性

東宮職員令の特筆すべき点は、皇太子の教育が非常に重要視されていることです。儒教や道徳的な価値観が、若い皇太子にしっかりと伝えられることが求められています。このようにして形成された教育的背景は、将来の天皇としての資質を育むための基盤となります。

職員の組織と役割

各職員は、特定の役割に基づいて組織され、それぞれの職掌を担っています。例えば、主膳監や主蔵監は、皇太子の生活面において重要な役割を果たします。一方で、主工署や主兵署は、物理的な運営や安全管理に関与し、皇太子を多面的に支える役割を担っています。

歴史的背景と影響

この職員令は、西洋の影響を受けながら、日本の皇族制度を整備していく中で成立しました。それに伴う制度の整備は、皇太子の役割が社会においてどう位置づけられるかに大きな影響を与えました。また、後の日本の官制の基盤ともなる重要な要素となりました。

参考文献

この制度に関する詳細は、角川第二版日本史辞典（1966年）、岩波日本史辞典（1999年）、および日本史史料1　古代（2005年）などの文献に取り上げられています。

関連項目

このように、東宮職員令は日本の官制、さらには皇族制度の発展に寄与した重要な法令として位置づけられています。

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