春宮坊

春宮坊（とうぐうぼう）について

春宮坊は、古代日本の律令制に基づいて設立された機関で、皇太子の御所における内政を管理しました。この機関の名称は「東宮坊」とも記され、唐の詹事府（春坊）を模範として形成されました。唐の制度においては、皇太子を中心とした諸機関が独立した一つの朝廷のような形をなしていたことから、春宮坊も形式的には幾つかの官庁から独立しているものの、実際には太政官の管理下に置かれていました。

職掌

春宮坊の主な職務は、皇太子に関わる家政全般にわたります。具体的には、春宮坊の管下にある諸機関が実際の業務を遂行し、その機関の役割には以下のようなものがあります。

• - 主膳監：皇太子の食事を用意する機関
• - 主蔵監：財物の管理を行う機関
• - 舎人監：使者を配置し、日常の業務を支える
• - 主馬署：馬に関する業務を担当
• - 主殿署：御殿の日常管理を行う機関
• - 主書署：書類管理や文書作成を行う
• - 主兵署：皇太子の護衛や軍事に関する業務を担当
• - 主工署：建築や工事に関わる業務を担当
• - 主漿署：食料や酒などの調製・管理を行う

さらに、後に東宮蔵人や帯刀舎人などの職が設置され、春宮坊の機能は多岐にわたりました。ここで言う「監」と「署」は、一般的に太政官における「司」と同等の役職を指します。

職員構成

春宮坊に配属された職員の構成は多様であり、以下のように分類されます。

• - 大夫：従四位下相当
• - 亮：従五位下相当
• - 進：

- 大進：従六位上相当
- 少進：従六位下相当

• - 属：

- 大属：正八位下相当
- 少属：従八位上相当

• - 史生：延喜式に基づき新設された職
• - 坊掌：弘仁6年に新設された職
• - 使部：30名
• - 直丁：3名

加えて、平安時代の中期以降には、蔵人、非蔵人、雑色、出納、女蔵人、宣旨などの新しい役職が順次設けられ、春宮坊の役割はさらに広がっていきました。これにより、皇太子の周辺には多くの職員が配置され、円滑な政務を支える体制が整っていったのです。

参考文献

春宮坊に関する詳しい情報は、神宮司庁 編の『古事類苑』に掲載されています。本書は春宮坊を含む古代の官職について詳しくまとめられており、1927年に出版されています。興味がある方はぜひご参照ください。

関連項目

春宮坊に関連する主なトピックには、日本の官制や東宮職員令、東宮職、中宮職などがあります。これらは日本の律令制度の一環として、皇族の役割や権限を定めた重要な制度の一部です。

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