東寧府

東寧府の概要

東寧府（とうねいふ）は、元朝が高麗を支配するために設立した植民地であり、その設置は平壌に行われました。元朝は、高麗地域の支配を強化するため、双城総管府と共にこの拠点を利用しました。東寧府の設立とその後の沿革について見ていきましょう。

沿革の概要

1269年10月、元朝への反抗勢力を排除する名目で、親元派の指導者たちが反乱を起こしました。彼らは高麗の北西部にあたる60城を元朝に降伏させ、その結果、翌年には元朝が旧西府に東寧府を設置しました。この際、慈悲嶺を境界として遼陽行省に編入され、崔坦が東寧府の総管に任命されました。

1276年には、東寧府が東寧路に昇格しました。この昇格についての詳細は『高麗史』に記載されていないものの、1276年と1278年の資料には「東寧府」という名称が記されており、この時期に改称されたと考えられています。

その後、元朝と高麗との宗藩関係はますます強固になり、1290年7月には東寧府は廃止され、その管轄区域は高麗に移されました。設置から約20年の間、東寧府は存在しましたが、その役割を終えていくこととなりました。

元末の記録

元朝末期の記録によれば、1364年や1369年、1370年に再び東寧府の名前が登場しています。『高麗史』の中には、これらの時期に東寧府が設置された旨の記録が存在しますが、中国の他の史料には1290年以降の東寧府の言及はありません。このことから、東寧府は元末の混乱期間に一時的に再設置された可能性が指摘されています。

歴史学者たちは、1290年に東寧府が実際には廃止されず遼寧地区に移転したのではないか、あるいは本当に廃止された後に再設置されたのかという二つの説が存在していることを示唆しています。

結論

東寧府は高麗における元朝の支配の象徴的存在であり、その設置と廃止は当時の地域政治の変遷を示す重要な出来事です。このように、東寧府は高麗と元朝の関係を理解する上で欠かせない要素となっています。今後の研究では、元朝末期のこの地域における政情についてさらに深く探求していく必要があります。

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