東峰夫

東峰夫とは

東峰夫（ひがし みねお）は、1938年5月15日にフィリピンのミンダナオ島で生まれた日本の小説家です。本名は東恩納常夫で、沖縄にゆかりのある作家として知られています。

幼少期と帰国

東の人生は1945年、第二次世界大戦の終結に伴って日本に帰国するところから始まります。彼の家族は大分県の大野町に移り住み、その後1946年には沖縄に戻ります。1952年にはコザ市（現在の沖縄市）に住居を移しました。

学業の道

高校時代、彼は沖縄県立コザ高等学校に通っていましたが、1956年に中退しました。中退の背景には、ロシアの作家トルストイを愛読し、彼の作品に感銘を受けるあまり、学校の授業への興味を失ったことが挙げられています。彼は「トルストイを読みすぎた」と語っており、学校の授業がつまらなく感じたと回想しています。

職業人生の始まり

その後、嘉手納基地で一時期勤務しましたが、1959年に退職。さまざまな職を転々とし、看板屋の見習いやブロック工としての仕事を経験した後、1964年に上京することになります。東京では製本屋に住み込みで働きましたが、忙しさから執筆活動に打ち込むことができず、職を辞めて路上生活を余儀なくされた時期もありました。さらに、塗装会社や運送店での日雇いアルバイトをしながら、余暇を使って小説を執筆しました。

文壇での成功

1971年に発表した短編小説『オキナワの少年』が評判を呼び、文學界新人賞と芥川賞を受賞しました。この作品によって彼は文壇に名を馳せ、特に丸谷才一から将来を期待されました。しかし、その後の作品については編者からの継続的な要求に応じず、15年間でたった4作しか刊行しないという稀有な作家生活を貫きました。1981年には『大きな鳩の影』を出版しましたが、その後は原稿のオファーが途絶え、姿を消すことになります。

プライベートと生活

1977年、沖縄の日米混血女性と結婚し、1981年には沖縄に帰郷した後、子供をもうけました。スナック経営の妻とともに主夫としての生活を送っていましたが、1984年に家族を捨てて東京に戻ることになります。この時期、彼は日当1万1000円のガードマンとして生計を立てていましたが、1993年には職を失い、困窮した生活を余儀なくされました。

再び文壇へ

2002年、彼は小浜清志の助けを借りて『ガードマン哀歌』を発表し、文壇にカムバックしました。また、1972年から続けている夢日記を基にした『現代の神話シリーズ』も執筆しました。さらに、2017年の「民主文学」には、14年ぶりの新作「ダチョウは駄鳥！？―九段論法による神の存在証明」が掲載されました。

名声消失の理由

芥川賞受賞以降、なぜ彼が姿を消したのかについて、東は編集者による思想検閲があったと述べています。また、有名になっていく中で「人々が自分の名前を忘れていくのはつらいことですか？」との問いに対して、「つらいどころかせいせいしますよ」と答えています。

著書

• - 『オキナワの少年』文藝春秋, 1972
• - 『ちゅらかあぎ』文藝春秋, 1976
• - 『大きな鳩の影』中央公論社, 1981
• - 『ママはノースカロライナにいる』講談社, 2003
• - 『貧の達人』たま出版, 2004

まとめ

著名な日本の小説家、東峰夫は独特な経歴を持ちつつも、その作品とともに文壇に名を刻んでいます。彼の作品には自身の経験や沖縄を反映したものが多く見られ、彼の生きざまは訪れる人々に深い印象を与え続けています。

もう一度検索