東急デハ30形電車

東急デハ30形電車

東急デハ30形電車は、東京急行電鉄（現・東急電鉄）の前身である玉川電気鉄道線、通称「玉電」で使用されていた電車です。玉電初の半鋼製車として、路線の近代化に貢献しました。

概要

1927年、溝ノ口線と中目黒線の開通に合わせて、汽車会社と日本車輌製造で10両が製造されました。製造当初は46号形と呼ばれていました。

外観上の特徴として、竣工当時はトロリーポールを4本備えたダブルポール集電方式を採用していました。前面は3枚窓で、運転台と出入台は客室よりも床面が低い構造でした。客用扉付きの密閉車体は、当時としては画期的なものでした。しかし、設計思想は木造車の流れを汲んでおり、側面窓配置は1D3333D1と、31号形と同じ配置でした。台車も同様のものが使用されました。

東京横浜電鉄への吸収合併、そして東京急行電鉄（大東急）の発足に伴い、車両番号がデハ30形（30～39）に改番されました。その後、35号がデハ40形の52号に改番されたため、総数は9両に減少しました。この際、初代の30号が二代目の35号に改番されています。

戦後には、集電装置がビューゲルに変更されました。また、車体延長による運転台の高床化、中引扉の取り付け、重連運転に対応するための直接制御式の間接非自動制御（HL）化、空気制動の非常管付き直通制動（SME）化、自動連結器の取り付けなど、大規模な更新工事が実施されました。

連結2人乗り改造は行われず、晩年はデハ40形と共に、主に朝のラッシュ時専用として運用されました。1968年から廃車が始まり、玉川線・砧線の廃止日である1969年5月11日までに全車が廃車され、形式消滅しました。

保存車両

34号は廃車後、二子玉川園内に保存されましたが、老朽化が著しく、1970年代後半に解体されました。同車のビューゲルは、かつて田園都市線高津駅付近にあった電車とバスの博物館に展示されていましたが、同館が宮崎台に移転してからは展示されておらず、その後の消息は不明です。

参考文献

『世界の鉄道 '64』 朝日新聞社 1963年10月

関連項目

玉川電気鉄道
* 東京急行電鉄

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