東恩納寛惇

東恩納 寛惇

東恩納寛惇（ひがおんな かんじゅん、1882年10月14日 - 1963年1月24日）は、日本の沖縄出身の歴史学者、郷土史家であり沖縄に関する研究で高い評価を受けています。彼は東京帝国大学を卒業後、長年にわたり教育者としても活動し、多くの著書を通じて沖縄の文化と歴史の発展に寄与しました。

経歴と学問の道

寛惇は1882年に那覇東町で生まれましたが、彼の学問の旅は沖縄県中学校から始まります。次に第五高等学校に進学し、1908年には東京帝国大学史学科を卒業しました。その後、彼は東京府立一中や高千穂高等商業学校などで教鞭を執り、さらに府立高校や法政大学、拓殖大学の教授としても活躍しました。また、拓殖大学では図書館長としての役職や第一高等学校の校長を歴任しました。

沖縄の歴史研究

彼の主たる研究は『歴代宝案』であり、沖縄の歴史について深く掘り下げた多くの著作を残しました。彼の作品は沖縄県立図書館に寄贈され、「東恩納寛惇文庫」として現在も大切に保存されています。沖縄戦により多数の歴史資料が失われた後、寛惇の集めた資料が重要とされ、彼の研究が沖縄史の再考に貢献することとなりました。

受賞と栄誉

彼の死後、沖縄における彼の偉業を称え、琉球新報社によって「東恩納寛惇賞」が創設されました。また、彼は1958年に沖縄タイムス出版文化賞を受賞し、その業績が評価されています。

主な著書

寛惇の著作には、初代寮監を担った明正塾における作品や、数々の歴史的な論考が含まれています。彼の著書の中で有名なものには『尚泰侯実録』、『琉球人名考』、『南島論攷』などがあり、沖縄の歴史・文化を理解するための重要な資料となっています。これらは多くの再版が行われ、今日でも学術的な価値を持っています。

身の回りの逸話

寛惇は尚泰の孫に名付け親であったり、友人である伊波普猷を通じて沖縄への強い愛情を示したりと、その人間性も多く語り継がれています。また、同郷の徳田球一の告別式では弔辞を述べるなど、彼の社交の場でも重んじられた存在でした。

まとめ

1963年に彼は83歳でこの世を去るまで、沖縄の歴史に関する多くの研究成果を残しました。彼の豊かな知識と情熱は、沖縄の学問界だけでなく、文化やアイデンティティの再形成においても大きな影響を与えています。将来的にも、その業績は沖縄を理解する枠組みの一部として、広く学ばれ、尊重されることでしょう。

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