東恩納寛裕

東恩納 寛裕（ひがおんな かんゆう）

東恩納寛裕は、道光29年（1849年4月9日）に生まれ、1922年3月28日までの生涯を沖縄で過ごした唐手の家元であり、官僚としても知られています。彼は新参慎氏の東恩納小家に属し、童名は真三良、唐名は慎必達です。彼の父は東恩納寛冝、母は思戸であり、家族の中でも特に武道に深い関わりを持つ人物でした。

彼のキャリアは、咸豊10年（1860年）から始まりました。この年、彼は親見世若筆者としての活動をスタートし、その後も同治10年（1871年）には仮筆者、同治11年（1872年）には筆者として地位を確立します。彼は筑登之座敷において、主にその技術を教える役割を果たしました。

その後、東恩納寛裕は那覇市の東村の主取となり、重要な公職に就くこととなります。彼の名は特に那覇の綾門大綱において、新垣世璋と共同で那覇と久米村の間で発生した騒動を収束させたことで記録されています。この事例は新聞にも取り上げられ、彼の政治的な手腕が評価された瞬間でした。

また、東恩納寛裕は家族においても重要な役割を果たし、歴史学者の東恩納寛惇の父としても知られています。彼の教えを受けた親戚の許田重発に、彼の作り出したセーサンという型が伝承されたことは、彼の技術が次世代に引き継がれる重要な出来事といえるでしょう。

沖縄の武道は、地域の文化や歴史と深く結びついています。東恩納寛裕は、その沖縄の武道、特に唐手の普及と発展に多大な貢献をした人物であり、彼の教えや技術は今日でも多くの人々に影響を与えています。彼が築き上げた技術や理念は、実際の武道の枠を超え、沖縄文化全体に寄与しています。

参考文献

• - 村上勝美『空手の心と技』
• - 『新参慎氏家譜』沖縄県立図書館収蔵
• - 『萬水一源』東恩納寛文、東恩納寛惇共著 沖縄県立図書館収蔵
• - 「沖縄の武術家 新垣小と東恩納」『琉球新報』大正3年1月25日の記事

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