東成警察署襲撃事件

東成警察署襲撃事件

事件の背景

1951年12月1日、大阪の東成区で発生した東成警察署襲撃事件は、在日朝鮮人男性の死をきっかけに起こった。この事件の始まりは、11月10日の午後にさかのぼる。在日朝鮮人の男性が泥酔しているところを警察官に保護され、その直後に急変し死亡した。司法解剖の結果、彼の死因は肝臓が破裂したことによる多臓器不全とされている。

この男性は酔った状態で自転車を運転中に転倒し、警察に保護された際には既に手遅れだった。警察署長は後に遺族に事の詳細を説明するが、朝鮮人コミュニティは警察の行為をリンチによる殺害だと誤解し、一方的なデマが広がっていく。これにより、東成警察署への抗議が始まる。

抗議活動の経過

事件からわずか2日後の11月12日、生活擁護同盟のメンバーたちが警察署を訪れ、署長との面談を行った。そこで署長は真相を説明し、補足の情報提供を行なったものの、もはや事態は収束することなく、抗議の気運が高まる一方だった。

そして12月1日、数百人の朝鮮人が集まり、旧御幸森朝鮮人小学校から東成警察署までのデモ行進を行った。午前11時頃、デモ隊は正門前に到達し、次第に緊張が高まった。そこで、警察側は機動隊を派遣し、デモ隊の突入を阻止しようとした。

デモ隊の抵抗と警察の対応

デモ行進の参加者たちは、最初はただの抗議活動だったが、状況が悪化すると決して引かない姿勢を見せる。そして、警察署に突入しようとする参加者たちに対して、警察官は投石や唐辛子を用いた抵抗に対処することとなった。この混乱の中で、三名が公務執行妨害罪で逮捕される事態となった。

抗議は収まらず、12月16日には、デモ隊が再び不法デモを行い、さらに生野区や巽町にある工場を襲撃するという事態を引き起こす。この一連の事件は「親子爆弾事件」と呼ばれ、地元社会に大きな影響を与えた。

事件の影響

東成警察署襲撃事件は、在日朝鮮人と警察との関係を含む日本社会における民族問題や治安問題についての重要な議論を呼び起こした。この事件を通じて、在日朝鮮人の立場や権利についての認識が求められ、民族間の摩擦を解消するための重要な契機ともなった。その後も、さまざまな団体がこの問題に取り組むようになり、警察への信頼回復のための活動が広がることになった。

参考文献

この事件に関する関連情報は『大阪府警察史 第3巻』（編集委員会 大阪府警察史 1973年）に記載されており、多くの人々がこの歴史的な出来事を知る手助けとして利用されている。

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