親子爆弾事件

親子爆弾事件

1951年（昭和26年）12月16日、大阪府大阪市で発生した「親子爆弾事件」は、在日朝鮮人による工場襲撃、集団暴行事件として知られています。この事件は、朝鮮戦争終結後の特需景気の中で、社会情勢が不安定な時期に起こりました。

事件の背景

当時、朝鮮戦争の影響で日本経済は特需景気に沸き、大阪市東部には多くの町工場が存在していました。これらの工場の中には、現代のクラスター爆弾に相当する「親子爆弾」を製造していたところもありました。このような状況下で、ある朝鮮人が工場で事故死するという事件が発生しました。この事故死をきっかけに、東成警察署襲撃事件が起こるなど、東成区一帯は緊張状態に陥りました。

事件の発生

1951年12月16日午後、事故死した朝鮮人の慰霊祭が執り行われました。慰霊祭には、遺族や関係者だけでなく、生前には面識のない多くの朝鮮人が赤旗やプラカードを持って参列しました。生野警察署は、この不穏な状況を察知し解散命令を出しましたが、群衆はそれを無視し、三つの部隊に分かれてデモ行進を開始しました。

デモ隊の行動

第一部隊: 生野区にある工場を襲撃しようとしましたが、大阪市警視庁機動隊によって阻止され、解散させられました。しかし、別働隊が別の工場に侵入し、ゴム靴を撒き散らすなどの行為に及びました。
第二部隊: 中河内郡巽町（現在の生野区内）方面に進み、2ヶ所の工場を襲撃しました。この際、工場の従業員に対する暴行や、施設破壊行為が発生しました。
第三部隊: 東成区方面に向かい、2ヶ所の工場を襲撃した後、民団鶴橋分団長の自宅を襲撃しました。

これらの行動により、工場や民団関係者は甚大な被害を受け、地域社会に大きな混乱をもたらしました。

事件の影響

親子爆弾事件は、戦後の不安定な社会情勢、在日朝鮮人に対する差別や偏見が背景にあると考えられています。この事件は、民族間の緊張を象徴する出来事として、歴史に深く刻まれています。また、この事件をきっかけに、警察による警備体制の見直しや、在日外国人に対する政策の見直しが進められる契機となりました。

参考文献

『大阪府警察史 第3巻』（大阪府警察史編集委員会 1973年）

関連項目

朝鮮特需
クラスター爆弾
大阪市警視庁
自治体警察 (旧警察法)
* 東成警察署襲撃事件

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