東方会議 (1927年)

東方会議（とうほうかいぎ）

1927年6月27日から7月7日まで、東京の外務大臣官邸にて開かれた東方会議は、大日本帝国政府の中国大陸における外交政策を議論する重要な場となりました。この会議では、特に幣原外交の見直しを目指した対支政策綱領の策定が行われました。以下にその経緯と議事内容について詳しく記載します。

経緯

1920年代初頭、中国は清朝の崩壊により、軍閥による権力争いが続いていました。様々な軍閥が外国列強と結びつき、互いに抗争を繰り広げていたのです。その中でも、蔣介石率いる国民革命軍が1926年に北伐を開始し、中原地方を支配下に置くために活動を加速させました。1927年には南京事件と呼ばれる外国人への暴行事件が発生し、米英の艦船による居留民保護が試みられました。しかし、当時の日本政府は幣原外相の指導する穏健な外交政策に基づき、これらの暴行を見過ごし、「弱腰外交」と非難される事態に至りました。

その後、若槻内閣の崩壊を経て、田中義一内閣が成立し、幣原外交の見直しが求められるようになりました。新内閣は、中国大陸における日本の権益を守るため、山東省に軍を派遣し、東方会議を開催する運びとなりました。

出席者

この会議には多くの政府高官が出席しました。外務省からは田中義一外相、森恪政務次官、出淵勝次事務次官などが参加しました。また、在外公館の代表としては芳澤謙吉駐支公使や吉田茂奉天総領事が出席しました。さらに、陸軍や海軍の次官も含まれており、幅広い意見交換が行われました。

議事内容

会議では、まず中国大陸情勢についての分析が行われました。蔣介石軍閥とそのライバルである汪兆銘派との対立や、共産党的な勢力の影響が議題となり、今後の政策に対する見解が示されました。特に、軍閥間の抗争が続く中、特定の派閥への拘泥は避け、民衆の意向を尊重した政策が必要であるとされました。

南方における政策としては、現地の民衆に対する理解を深め、彼らの自発的な自治の機運を待つことが望ましいとされました。また、北方においては、日本の権益を維持するための特別な対応が提案されましたが、従来の軍閥への盲目的な支援からは脱却するべきとの意見も出されました。

田中首相の訓示

会議最終日には田中義一首相から訓示が発せられ、中国大陸の安定は民衆の意思に基づくべきであり、特定の党派への偏向は避けるべきことが強調されました。また、穏健な派閥の統合を支持し、統一した政府の成立へ向けた協力姿勢が求められました。不測の事態に備え、在留邦人の保護も十分に考慮されるべきであると訴えました。

この東方会議は、大日本帝国の対中国政策の重要な転換点であり、後の外交方針に大きな影響を与えることとなりました。

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